「次元航海を7巻まで読んだ」
「それで?」
「開いた口が塞がらない」
「どうして?」
「ハーロックのリメイクコミックなど自分が読んでもしょうがないと思っていた」
「まあ、君のホームは宇宙戦艦ヤマトだね」
「ヤマト2199以降は完全に除外されるがな」
「ハーロックへの思い入れは薄いね」
「そうだ。一部を除きハーロック関係はDVDもほとんど持っていない。LDでも買っていない」
「それなのになぜ?」
「次元航海は宇宙海賊キャプテンハーロックを軸に【全部入り】を目指していると分かったからだ。その全部には、宇宙戦艦ヤマトが包含される」
「なぜ宇宙戦艦ヤマトが包含できるんだよ」
「なぜなら、ハーロックの正体は古代守説を今どき大まじめに取り上げているからだ」
「えー。それはいかにも無理がある。だって、古代守は2199年頃のキャラクターで、ハーロックは2977年頃の話だろ。全く年代が合わない」
「ところが、遺伝子を維持して世代交代するという謎の設定を導入して、同一人物が数百年後にも再登場できるのだ」
「いかにも無理がある」
「ところが、その設定を導入すると、新宇宙戦艦ヤマトの同じ名前を継承した千年後のヤマト乗組員達がすっきりと収まってしまうのだ」
「まさか」
「おそらく、次元航海の松本ワールドは誰からも無視されて無かったことにされていた新宇宙戦艦ヤマトの世界すら取り込もうとしている」
「えー」
「少なくとも、真田志郎、澪がハーロックと一緒に映っている写真は登場した」
「古代守ハーロック説だね」
「そう。本編中にイスカンダルの女王と言う言葉やネオガミラスという言葉も出てきた」
「なるほど。【別の形で】ヤマト世界に何かの解釈を持ち込もうとしているわけだね」
「そうだ。これは面白い。何しろ、少なくともヤマトよ永遠には肯定されている」
「力一杯ヤマトよ永遠にを否定に掛かっているヤマト2199/2202とは真逆なのだね」
「そうだな。今のところは、次元航海の方が余程永遠にを大切にしているように見えるよ」
「しかも、数十年前に公式に否定された古代守ハーロック説を蒸し返してきたのだね?」
「そう。いかにも無理があったから否定に異議は無かった。しかし、その無理が何かの物語を産み出すバネとなるなら、無理は創作の源泉となる」
オマケ §
「もしかしたら、1年で大人になる設定にも何か理屈を付けてくるかも知れない」
「えー」
オマケ2 §
「わが青春のアルカディア的な遺伝子の記憶的な展開で西部劇のガンフロンティアまで取り込み、大地球とイルミダスと大アンドロメダの機械化帝国まで存在する宇宙で行われるマゾーンの地球侵攻はもう意味合いがまるで異なっている」
「なんということだ」
「鉄郎は既に機械化帝国に逆らうテロリスト扱いだしな」
「パルチザンじゃないのかよ」
「視点が違うだけで同じことだ」
オマケIII §
「いま本当に、次元航海の方が正当なヤマト宇宙に見えてしまうことが最大の問題だろうな」
「どうして?」
「古代守ハーロック説は一時期幅広く信じられていたアイデアだからね」
「その解釈は間違いではないの?」
「それはただの設定の過ぎない。設定とは物語の都合でいくらでも変わりうるものだ。実際、古代守がハーロックという謎の覆面男になる設定が存在するヤマトもオフィシャルにあることはあるのだ」
「君も何か考えたらどうだい?」
「古代守ハーロック説を越えるにはもうあれをやるしかない」
「何だよ」
「宇宙海賊船シャーク」
「きっとみんなもう覚えていないよ」