「コスモウォーリアー零のガンフロンティア編はどこが最も優れているのか」
「どこ?」
「実は登場人物の全員が間違いを起こしている」
「えー」
「通常、ハーロックとトチローは間違いを犯さないヒーローとして描かれる。しかし、ここではその常識が反転している」
「どう反転しているんだよ」
「トチローは若い女に目が眩んで磔にされるが、トチローを救うために怒ったハーロックとエメラルダスが来てしまう」
「それで?」
「でも、トチローが悪かったと知るとハーロックは街の人たちに謝る。エメラルダスはトチローを助けに来たのに、若い女に目が眩んだと知ると助けずに引き返してしまう」
「そこが、ハーロックらしくない、トチローらしくない、と見られてしまうところだね」
「しかし、【謝ったら死ぬ病】の患者ではない健全な人間なら間違うことはあるし、謝ることができるのは健全な人間の証拠。謝るハーロックはやはり人間として大きく見えるし、惚れた女がいるのに色香に迷うのは男のサガ。トチローは人間くさい」
「そこが、他の作品と違う秀逸な点だね」
「そもそも、本来のガンフロンティアのトチローとハーロックも間違う人間だ」
「ドジをいっぱい踏んでいるね」
「しかも、シヌノラを怒らせて【もう知らない】という態度にさせることもある。こっちの方が自然なハーロックとトチローだよ」