「ガンダムビルドダイバーズ第1話を見てビックリした」
「ガンダムは君が批判する対象ではないの?」
「その通りだ」
「では、どこに驚いた?」
「キャラクターの配置、描き方、ストーリー構成などが良く出来ている」
「ガンダムなのに?」
「そうだけど、要するにガンダム批判のポイントは企画の貧困さに対してであって個別の作品のストーリー構成に対してではないからね」
「別の尺度での批判ということだね」
「そう」
「じゃあ、どこに驚いたの?」
「最近のアニメは大人がいない作品が意外と多い」
「設定上大人というだけで年齢相応に振る舞っていないキャラだね」
「そう。ヤマト2199やヤマト2202もそんな大人ばかりだが、もっと子供っぽい企画であるはずのガンダムビルドダイバーズに年齢相応の大人がいるのはやはり『おっ』と思うよ」
「じゃあさ。どのあたりに大人がいた?」
「主人公達を案内してくれるオカマキャラ。自分の立場と役割に徹していて、大人の落ち着きがある。気の配り方が大人なんだ」
「じゃあさ。キャラクターの配置のどこに君は良いと思った?」
「うん。そのオカマキャラはなぜオカマキャラなのか。きちんと理由があった」
「理由? スタッフはオカマが好きだから?」
「そうじゃない。このキャラは主人公達を守護する母性を持つキャラの位置づけられる。主人公の味方、贈与者キャラなんだ。従って、このキャラは距離を取って見守る母性キャラであるがゆえに、女性的な『母』としての属性を持たねばならない。しかし、ヒロインではない。正ヒロインはまた別に存在する。ここでは水色の髪の少女がヒロインにあたる。視聴者は彼女に集中しなければならない。母性キャラをヒロインと誤認させてはならない。ではどうするのか」
「どうするんだい?」
「この作品は、『ヒロインと誤認させてはならない母性見守りキャラ』をオカマキャラにすることで解決しているわけだ。これなら、キャラに女性的な母性的な雰囲気を出せると同時に正ヒロインと誤認させることはない」
「なるほど」
「他にもいろいろ感心したことはあるが、長くなるから割愛する」
「ふむふむ。ではストーリー構成的に上手いと思った箇所はなに?」
「好き勝手にビギナーを遊ばせて遠くで見守っているだけのキャラと、直接接触して奸計に落とし込もうとする初心者狩りを対比させることで、僅差で主人公達はピンチに落ちてしまう。本来なら、こんなことにならなかったはずだ……という状況が存在する。彼らはこんなことにならない可能性もあった。それにも関わらず、ほんの僅かな油断で大きな危機が発生してしまう」
「つまりなんだい?」
「不幸の量産ではないんだよ。こんなことは滅多に起きない。しかし、アンラッキーな彼らだけがそこに落ち込んでしまう」
「それにどんな意味があるの?」
「不幸が量産される場所は人気の遊びであるはずがない。基本的にはそこは楽しい場所であらねばならない。それを維持するために活動している大人もいる。それにつけ込もうとする悪い奴等もいる。悪い奴等は基本的つまみ出される対象であり、一般プレイヤーは彼らから保護される立場だ。しかし、彼らだけはピンチに落ちてしまった」
「ロビーでの初回の誘惑はちゃんと排除されているが、初心者狩りは僅かな時間差で排除できなかったわけだね」
「そう。そのあたりの構成も良く出来ている。彼らを騙そうという悪の誘惑の存在をまずロビーで描いている。そこで誘惑の存在を予感させつつ、ゲーム中で再び誘惑が出現する。誘惑の出現に唐突感がない」
「なるほど。で、表題で言っているけど、ガンダムビルドダイバーズとヤマト2202はどこが違うの?」
「そこは自分で考えろよ。ヤマト2202第1話とガンダムビルドダイバーズ第1話はどこがどう違うかを」
オマケ §
「実はわざわざ真面目にもう1回ビルドダイバーズ第1話を見たのだがね」
「うん」
「良く見ると、もっと出来の良さが分かった」
「ガンダムでもいいの?」
「実はね。コクピットという名の個室に入って本人の存在感が隠されてしまう問題が解消されているのだ」
「どうやって?」
「コクピットに他人がいる。そして、その他人が大きく影響をもたらす」
「そこは好ましいわけだね」
オマケ2 §
「ついでに言えばコクピットにいる他人はプルというよりシーラ様。赤い嵐の女王」
「なるほど。そこがガンダムでありながらガンダムっぽくないところだね」
「あと、チーム戦に徹しているところも、個室感が薄い」