「ヤマト1974という作品の基本線は、秘境が地球上から消失して海洋冒険が成立しにくくなったので、宇宙を舞台に海洋冒険を実行する可能性を探るものであったと思う」
「それで?」
「だから、実はストーリー上の極端な矛盾点の多くは、地球上の海洋冒険がそのまま投影されたものと解釈すると筋が通る」
「たとえば?」
「『海峡はきっとある!』とかね。迂回すると時間が掛かりすぎるとか。あれは海の感覚だよ」
「なるほど」
「しかし、ヤマト1974は宇宙冒険のロマンも取り込んでしまったため、どことなく居心地の悪い部分を残してしまったのも事実だ」
「宇宙冒険だと思って見れば、そういう要素はただの矛盾点だね」
「そうだな。スペース1999第1シーズンで形而上的な濃厚ドラマを展開したのにリアル風のSFメカを出したために居心地が悪い部分が残ったことと同じだ」
「じゃあさ。そこは海か宇宙に統一すれば良かったのかな」
「さあ、それは分からないな。単なる可能性の問題に過ぎない」
「ヤマト2199はどうリメイクしたんだ?」
「矛盾点を追放する感じで、海洋冒険的な要素をどんどん切り落としてしまったのだが、実は銀河赤道祭やらなんやらの変なところでそういう要素が入ってきて、やはり居心地が悪い部分が残ってしまった」
「なんてこった。それはヤマトに最後まで付いて回る呪縛か」
「だろうね。もはや海洋冒険ではみんな見てくれないが、かといって宇宙ものをやっても視聴者が付いてこない。宇宙を偽装して海洋冒険をするしかない世界だ」