三百字小説『ワスプ姉妹』

　ワスプ姉妹ツイン・ワスプと呼ばれて怖れられていた。

　背の低い小さな女性がなぜ恐いのか。

　この姉妹はスーパーヒロインのように強かったからだ。しかも、それが二人揃っているとたいていの相手には勝てる。警官すら避けて通るのだ。

　そこで友達のカタリナがツイン・ワスプに相談した。

　「ねえ、ワスプ姉妹。最近、変質者につけ回されているのよ。警察も持てあましているの。追っ払ってくれない?」

　「オッケー。双子だから二交代で守ってあげる」

　だが、それは罠だった。

　「ふふふ。ワスプが一人になる時を待っていたのだ。俺様こそは復讐鬼アベンジャー!」

　「あっ、そう。二人要るのは相手が複数の時だけよ」

　結局復讐鬼はタコ殴りにされた。

(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)