私設国際救助隊 Private International Rescue R-WINGS
ぽからより【国際お助け隊】の名称で販売されていた電子書籍の出版社変更、改題、新装版である。
【スーパーメカを駆使し、不可能な救助を繰り返す彼らの正体は、主婦、コミュ障のプー太郎、クビになった軍の設計技師、八百屋、そして小国の王女様だった。】という内容である。
初出時は【アールウィングス】であったので、その点だけは先祖返りした。
そもそも、【国際お助け隊】を名乗ったのは、魔法のプリンセス ミンキーモモに登場した際の名称であるからだが、そこを今更意識する意味はない(そもそもアニメに出ていないキャラクターも多く、出ているキャラもほとんど追加執筆時にアニメを意識していない)ということから、作品単体での勝負を前面に押し出して改題することにした。
その背景にあるのは、電子出版初期に作成した電子書籍であるため、マーケティング的な未熟さが目立ったことだった。
同じような問題は名探偵ホラムズでも起きていた。名探偵ホラムズは、ホラ吹き探偵の愉快な物語ではなく、かなりシリアスな重苦しい内容である。ホラ吹き扱いされるのは愉快なことではないということである。しかし、電子書籍のタイトルや表紙からはそれが読み取れるようにはなっていなかった。つまりは、マーケティング的な失敗である。
同じような問題が【国際お助け隊】にもあると気付いたので、中味はほぼ同じだが徹底的に外見にテコ入れした。
本作の主役は【重苦しい課題を抱えてスーパーメカで救助活動に邁進するグループ】である。そして、そのグループこそが主役なのである。グループ名は【国際お助け隊】であるが、これは本来テレビを見た経験が乏しい東欧生まれのマリアが【国際救助隊】を言い間違えたものがそのままグループ名になったものだ。それはそれで作中では意味があるのだが、それ単体で見ると【ゆるい】【楽しい】と誤解される恐れがある。そこで、R-WINGSを正式英語名扱いし、タイトルに入れることにした。しかし、R-WINGSだけでは意味が分からないので、Private International Rescueの文字を補足した。更に、Private International Rescueを補足する意味で日本語で【私設国際救助隊】と入れた。イギリス特撮の国際救助隊はそもそも私設なので、私設国際救助隊は冗長であるが、ここはPMC(Private Military Company)にあやかってPrivateの文字を入れてある。
あとは表紙にスーパーメカの絵を入れれば完成である。もちろん、【国際救助隊(International Rescue)】にもスーパーメカを使うというニュアンスはある。
これで私設国際救助隊 Private International Rescue R-WINGS の完成である。
そして、ストレートに行くなら不要の前書き、言い訳と説明が多すぎる2016年の解説も取り除いてスリムにした。自信を持ってこれ一つで読者に提供するなら、言い訳は要らないのである。別に、グランド・フェンウィック号の名称の由来など読者に語ることではないのだ。
蛇足の余談 §
表紙のスーパーメカOT1(お助け1号)がシルエットなのは、1960年代の日本のウルトラなテレビ番組オープニングへのオマージュでもあるが、スーパーメカを本気でデザインし始めると切りがないのでシルエットにしたという事情もある。
シルエットがF-104に似ているのは、お助け1号はユパニア空軍払い下げのF-411のスクラップの胴体から作られたという設定と、F-411は暗にF-104をモデルにしているという理由による。だから、1990年代という設定でありながら、時代遅れの1950年代っぽいシルエットになっている。もちろん、中味は別物である。
もう1つの蛇足 §
実は読み直してACE COMBAT的な展開が多いことに驚いた。
スクラップから再生し、成層圏まで上がる機体、しかもF-104をモデルにしたF-411がベースとは、まるでACE COMBAT 7を見ているようだ。
言うまでもなく書かれた時期はACE COMBAT 7はおろかACE COMBAT 5すらまだ存在していない頃だ。いや、下手をすると初代ACE COMBATすら存在しないかもしれない。こちらが先である。似たような要素があるのはただの偶然だと思うが確認中に頭がクラクラした。
私設国際救助隊 Private International Rescue R-WINGS