「シン・エヴァの劇場に来ている観客は面構えが違うという感想があったが、Vシネのライダー新作、しかも2号ライダーですらない滅亡迅雷主役の映画の平日初日に来る連中だってドマニアで面構えが違う」
「それで面白かった?」
「もの凄く面白かった。このまま終わっていたら200点上げてもいいぐらいだ」
「仮面ライダーゼロワンってそんなに好き?」
「いや、テレビシリーズはぜんぜん面白くない」
「どういうことだよ」
「今回のこの映画、テレビシリーズのダメな部分を全部捨てて、その代わりに滅亡迅雷主役で筋を通し直してちゃんと作ってある。飛電或人なんて、ほぼ出てこない」
「それは予測されtこと?」
「いや。予測はしていない。しかし、最近のライダーはテレビシリーズがダメでも劇場版あるいはVシネになると急に面白くなるという現象があるので、あるいはという思いはあった」
「この映画を一言で言うと?」
「被差別民の抵抗と解放運動を、ヒューマギアという存在に仮託して描いた映画だな。だから、ヒューマギアは感情移入可能な存在として人間的に描かれているが、それはそれで筋が通っていて破綻がない」
「それで、良かったのはどこ?」
「やはり、正義対正義という終わりのない戦いを作り出そうとしたZAIAのCEOに対して、自ら悪となる道を選んで戦いに終止符を打った滅亡迅雷という物語が面白かったぞ。話に説得力があるし、悲劇性もある」
「個別で良かったのはどこ?」
「CEOが変身する時にグラサンを取るところが格好いい」
「他には?」
「兵器の導入に関してタヌキを演じた大臣らしい人が凄かったね。本物の日本政府の大臣もこれぐらい優秀だと日本の惨劇は回避できたはず」
「えー」
「ありえたはずの夢の日本の映画だよ、これは。こんな日本が来たかも知れないが、実際は来なかった」
「で、このまま終わっていたら200点ってどういうこと?」
「続きがあるっぽいのだよ」