60/70/80年代 SF小説読書エッセイ: まだ火星にプリンセスがいた時代
「これはどういう新刊なんだ?」
「SF小説を読んでいた頃の思い出話だ」
「60/70/80年代ってことは、古い話だね?」
「そうだ。子どもの頃の思い出話のエッセイだ」
「なぜ今になって書いたの?」
「理由は2つあってね。前に書いたUFOと夢中・あなたの知らない日本SF誕生の秘密: トンデモとSFが一体だった時代で昔のSFに触れてしまったこと。それから、70年代に通った思い出の図書館が移転で消えてしまったことだ」
「切っ掛けがなかったら書かれなかった本じゃないの?」
「その通りだ」
「なら、それほど書く必然性はなかった本と言えないか?」
「そんなことはない。書いていろいろ発見があった。有益だったよ」
「たとえば?」
「産まれてから2冊目に手に入れたハヤカワSF文庫のミクロの決死圏ね。あれはずっとアシモフの本だと思っていた。でも訳者はソノラマ文庫の軍艦泥棒の著者と同一だったのは大発見」
「で、君の年齢で60年代の本をそんなに読めたの?」
「実は、60年代の本はほとんど図書館にあった。読んだのは70年代ということになる」
「その図書館にはそんな本まであったの?」
「むしろ、そういう本が多かった」
「そんな本を読んだの?」
「喜んで読んだぞ。児童室のSFっぽいタイトルの本は全部読んだ。好き嫌いなし。全部読んだ。ハヤカワSF文庫のターザンシリーズまで読んだ」
「ターザンってSFなのか?」
「それは分からないがSF文庫だったぞ」