「厳密な意味で映画か分からないが、劇場で上映されているので映画扱いで感想を書こう」
「それで1話から12話まで見た感想があるのか?」
「ある。実はこれはパトレイバーであってパトレイバーではない」
「それはどういう意味だい?」
「これは、真・女立喰師列伝の複数監督によるオムニバスという方法論に、パトレイバーのキャラクターを後付けした企画で、内容のセンスがアニメ、漫画ではなく、実写の映画」
「えー」
「だから、パトレイバーは本来バンダイビジュアルの企画だが、THE NEXT GENERATION パトレイバーは東北新社と松竹の製作になっていて、本質的に傾向が異なる。販売もジェネオンエンターテインメントがやっていて、バンビジュではない」
「真・女立喰師列伝は?」
「あれはジェネオンエンターテインメント」
「なるほど。一本につながったね」
「見事にバンビジュが外されているのも分かったよ」
「だから、バンビジュ特有のオタク向けのセンスが全くなく、実写のセンスで全体が構成されているわけだね」
「まあ、そんなものだろう」
「では、なぜパトレイバーなのだ?」
「押井守が実写でパトレイバーを撮ると言えば確実に見てくれる層が期待できたからだろう。実は、真・女立喰師列伝はそこが弱い。喰師列伝にはそこまでのネームバリューがない」
「じゃあ、実物大ガンダムと実物大パトレイバーは何がどう違うんだ?」
「実物大パトレイバーはおそらく俳優の演技の意外性に期待して、撮影に実物大のセットが必要とされたから造ったものだろう。これをプロモーションとして各地に派遣したのはただの2次利用に過ぎないのではないか。実物大ガンダムは、それ自体がアミューズメント施設の企画になるからな。ちょっと違う」
「結果として似ているだけで趣旨は違うのか」
「……と思うよ」
「そして、作品としてのカラーは全くの別物になってしまったのか」
「オタクが大嫌いな実写リメイクそのものになってしまったよ」
「なるほど」
「でも、オタクが大嫌いな実写リメイクって、映画として間違っていないことが多いので、単純に宗教戦争を可視化してしまっただけではないだろうか」
「君としてはどうなんだ?」
「立喰師列伝→女立喰師列伝→真・女立喰師列伝→ASSULT GIRLSの実写路線が好きだった立場としては、全くもって面白い良い作品であった」
「ではなぜずっと見ていなかったんだ?」
「デッキアップのパフォーマンスに喜ぶオタクの雰囲気が嫌だったので、なんとなく避けてしまった」