2022年08月27日
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映画「耳をすませば」のラストの上着の【自転車に乗るリアリティ】としての意味に気付いた

Written By: トーノZERO連絡先

 映画「耳をすませば」のラストでは、上着が演出の小道具として使われます。

 戦士の休息の後目ざめた雫は、窓から聖司を発見して自転車の後ろに乗ります。そして、寒いだろうと聖司は自分の上着を雫に渡します。このあと、最後に「雫大好きだ」で抱きつく直前にこの上着を二人で羽織ろうとします。この間の上着の描写には全て【心理描写のメタファー】のみならず、【自転車に乗るリアリティ】としての意味があったという話です。

 以下説明します。

上着を雫に渡す §

 自転車に乗ってきた聖司は身体が熱くなっていたと考えられ、上着はむしろ「脱ぎたかったもの」と考えられます。一方でそれまで寝ていた雫は身体が冷えていて上着は歓迎だったと思われます。

二人で坂を登る §

 坂の途中で雫も自転車を押し始めます。この時、一度上着を落として拾います。

 このあと雫は上着を羽織りません。

 実は、自転車を押すことで雫も身体が温まって上着が不要になったと考えられます。

日の出を見る §

 二人で日の出を見るタイミングになると、もう二人とも激しい運動はしていないと思われます。つまり身体は冷えます。それまでにかいた汗が急速に身体を冷やします。ここで、雫は上着を再び羽織ろうとしますが、上着は一つしかありません。そこで、二人で羽織ろうとします。

 日の出を見る場所は風とおしが良く、風が汗を蒸発させる手助けをして寒かったという可能性もあり得ます。

雫、大好きだ §

 そのあとで聖司は雫に抱きつきますが、寒かったし好き合った間柄だし身体を寄せ合いたかった、という可能性もあり得ます。

まとめ §

 ラストのシーケンスでの上着は、雫と聖司の関係や相互のいたわりを演出する小道具として使われていますが、それだけでなく、【自転車乗りとしてのリアリティ】も十分に踏まえられた描写であったと言えます。

補足 §

 実は以上の考察から逆算すると、聖司の自宅は雫の自宅の近くにはないことが分かります。つまり、聖司は身体が温まるぐらいの距離を自転車で走ってきたことになるからです。おそらく、地球屋の近くが妥当なところでしょう。ただし、同じ中学に通っているので、離れすぎてはいません。

 聖司が自転車で移動しているのに対して雫が徒歩なのは、単純に脚力の差と思って良いと思います。ムーンを荷台に乗せた聖司が坂を上がれたのに、雫を後ろに乗せた聖司が坂を上がりきれなかったのは、雫が重かったのではなく、クレモナで聖司の足がなまったと考える方が自然でしょう。おそらくクレモナまで自転車は持っていっておらず、足は鍛えていません。おそらく、坂の多い多摩丘陵を自転車通学することで勝手に足が鍛えられていたと推定できます。

補足2 §

 その前夜、風呂に入る前に熟睡してしまった雫は風呂に入っていません。しかも、その前に熱い鍋焼きうどんを食べていて、そこで汗をかいていた可能性もあります。

 更に、その朝は汗をかく運動をしていたわけで、ラストシーンで聖司だ抱きつくときは汗くさかった可能性もあります。

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