ヤマトよ永遠にの間抜けなシーン(生きている古代を死んだと言うアルフォンなど)は、たいていフィルムのカットにより不整合によって発生したことが分かっているが、それに該当しないものもある。
たとえば、コースターンはゴースターンが誤って伝わったせいだという説は説得力があるが他にもある。
自分が一番気になるのは列車銃撃シーンだ。高速で走行する列車を大して発射速度も速くないマシンガンで撃っても車内が阿鼻叫喚になるとは思えない。割と間抜けなシーンである。
実は、ひおあきら版のコミックにこのシーンは存在しない。ビルへの銃撃シーンがあるのみだ。
この間抜けなシーンはもともとは存在せず、後の方の工程で追加されたものではないかという仮説を立てて検証してみた。
その結果、意外な事実が分かった。このシーンはAR台本にも存在しない。もちろん、シナリオにも存在しない。
ただ絵コンテにのみ存在し、ビルの銃撃シーンを斜線で消してその後の次ページに列車銃撃を書いてある。
(ロードショー特別編集や、設定資料集を参照した)
このことから以下のことが推定できる。
- 絵コンテが最初に描かれた段階までは、ここはビルの銃撃である
- ビルの銃撃はひおあきら版コミックで確認できる
- 何らかの理由で絵コンテが改訂されて、ビルの銃撃が消えて列車の銃撃に入れ替わった (AR台本への反映ができない程度に、割と遅い時期だったと思われる)
- おそらく、この時点で列車の設定が板橋克己氏に発注された
- このシーンに主要スタッフが突っ込みを入れる時間はおそらくなかった あるいはリテイクする時間はなかった
このシーンを考えたのは誰か。
実際に絵コンテに描いたのは誰か。
ゴーサインを出したのは誰か。
などなどは分からない。
ただ、ヤマトよ永遠にがピントの甘い作品になってしまう理由に、カットだけでなく追加もあることは分かった。
かなり渡された資料に忠実に描いたと思われるひおあきら版コミックと実際の映像を比較することで、ひおあきら氏に資料が渡った後で追加されたシーンは抽出できるものと思う。
考察 §
ビルの銃撃は、無理のない描写ではあるが、確かに【無差別殺戮されている】という緊迫感には乏しい。そもそも夜にビルの中にいる人間は残業している僅かな人間だけと思われるので、【皆殺し感】はない。それなら列車を撃った方が緊迫感が出るという意見はそれはそれで筋が通る。ただ、超高速で走る磁気浮上の特急列車として描いてしまったことで、あまり演出意図は反映されていないのかも知れない。しかし絵コンテは確かに特急列車っぽい窓の列車で、磁気浮上とちゃんと書いてある。
そのように思うと、どうも列車を撃とうと決めた人と、実際に絵コンテを描いた人は別人であるようにも思える。