「昨日映画館に行ったばかりじゃないか」
「そうだね」
「なぜ連日で行ったの?」
「北極百貨店のコンシェルジュさん、TOHOシネマズ府中では最終日だったの」
「なぜ見たいと思ったの?」
「劇場で予告編を見てピンと来たから」
「実際に見てどうだった?」
「凄く面白かった」
「どこが面白かった?」
「いきなり変なところから顔を出す上司のおっさん」
「それだけ?」
「いや。実はこれ見た目の通りの映画ではないの。デパートに見える場所で話が延々と進むのだけど、実はそこはデパートではないことが最後に明らかになる。そして、絶滅した筈の動物がなぜ人の言葉を話して買い物に来るのか。彼らはどこから来てどこに去るのか。なぜ店員だけ人間なのか。店員のトップだけ人間ではないのなぜか。そして、このデバートの周囲はどうなっているのか。そもそも、動物達が人間のように喋って暮らしているズートピア的な街は見当たらない。ならこの世界はどうなっているのか。走ってきてコンシェルジュさんに激突する人間の少女はなぜいるのか。どこから来たのか。謎は尽きない。謎また謎をどーんと突き放して終わってしまう超問題作だよ」
「デパートに動物さんが買い物に来るほのぼのメルヘンではないのだね」
「そう、ほのぼのはしてない」
「じゃあ最後に締めの言葉を」
「こんな超怪作とは思ってもいなかったよ! 見ておいて良かった!」
オマケ §
「今日は発券しないでスマホに表示したQRコードで入場した。初体験」
「半券が残らないわけだね」
「紙は1つも残らない」