2023年12月29日
トーノZERO日本特撮感想ロボット110番total 110 count

ロボット110番を全話見たぞ・良心的なロボコンとしてのロボット110番論

Written By: トーノZERO連絡先

経緯の説明 §

 世の中には、赤いロボットを主役としたコメディの特撮ドラマが存在する。

 がんばれ!!ロボコンを始祖として、ロボット8ちゃんやバッテンロボ丸などがある。

 そういうロボコンものの第1話をTTFCで順次見ていった最後にロボット110番に突き当たったのだ。

 ロボット110番はその中の一つであり、しかもがんばれ!!ロボコンの後番組なので、完全に直接的なロボコンの子孫である。また、メインのシナリオライターは、ロボコンと同じく上原正三であり、浦沢義雄の東映不思議コメディーシリーズ系列とは異なる。

 そのような意味で、ロボット110番はロボコンものとしては孤高であり唯一の作品である。

ロボット110番とは何か §

 ロボット110番(ロボットひゃくとおばん)は、1977年4月8日から12月30日にテレビ朝日系で放送された特撮ドラマである。

 ロボット博士の開発した4体のロボットが、ロボットサービスセンターを結成し、ロボット博士のために研究所を作るための資金を稼ぐ。

 110番とは、ロボットサービスセンターに仕事を依頼するための専用電話を意味し、警察とは関係ない。

がんばれ!!ロボコンとの主な相違点 §

  • ロボットの種類が少ない (4人しかいない)
  • 活動目的が具体的な金銭であり、育てるという観点はない

キャラクターの秀逸性 §

 ロボット110番にはロボットが4人しか出てこないが、ここがロボット110番の極めて優れたところだ。ただ数だけが増えたロボコンと違って、数を絞り込むことで濃厚なドラマが可能になっている。

 この4人には以下の役割が存在する。

  • チーフ 金の計算を行うリーダー。各自の赤字黒字をシビアに計算する
  • パール 電話番ロボット。少女型。
  • ケイくん 理想的な優秀なロボット。増長する傾向もある。
  • ガンちゃん ダメロボット。赤字になることが多い。

 主人公はガンちゃんであり、彼は常にみんなの足を引っ張っている。彼らの目的は、ロボット博士のために研究所を建てることであり、稼げないガンちゃんは常に問題児である。彼に優しい言葉を掛けるのはパールちゃんだけであるが、電話番ロボットのパールちゃんも稼ぎは多くなく、ガンちゃんが切られたら次は自分かもしれないと怯えていたのかもしれない。

 一方で優秀なケイくんは増長が目立ち、危うさを見せる。

 シビアな金銭計算を行うチーフも、数字に細かいだけで意外といい加減である。赤字を出していない場合でもバッテンパンチをガンちゃんに放つことが多い。要するに金以外はどうでもいいのだ。

 つまりどういうことか。

 ガンちゃんとパールちゃんはチーフとケイくんから徹底的にどうでもいい存在として扱われていて、とても悩ましいのだ。

 であるから、ロボット110番のドラマの主軸は、思い悩むガンちゃんとパールちゃんにある。このドラマはロボットの数が多すぎると作れない。ロボット110番ならではのものだ。

 もう1つ重要なキャラは南田巡査だ。

 南田巡査は、訛りの強い本物の巡査で、毎回ドラマに絡む。

 人間味があって、最初は戸惑ったがすぐにガンちゃんを街の仲間として受け入れる。けして無条件に味方というわけではないが、ガンちゃんの存在を受け入れた希有な大人でもある。だから、温かみがあるのだ。彼は味方ではないが受け入れているのだ。

 そして子供達。ガンちゃんは完全に子供達の目線のキャラであり、子供達と共鳴して行動している。(だから稼げないとも言える)

シナリオの基本線 §

 実は、この【徹底的に軽く扱われるガンちゃんと増長したケイくん】というドラマを適切に書いているのは、ほぼ上原正三だけである。藤川桂介はそこを拡大して変化球的なドラマを書いていて、これは非常に面白い。それ以外のライターは実はロボット110番というドラマを飲み込めておらず、話がただの人情ドラマになっていることが多いと感じる。

 そのことに気付いてからは、オープニングで毎回シナリオライターの名前をチェックしてから見るようになってしまった。

 藤川桂介脚本が変化球的というのは、たとえば第3話【散歩する美術作品】で、パールちゃんを塗り込めて銅像にしてしまうような話を言う。あれはあれで、上原正三脚本が固めた世界観をさらに拡大しているようで面白かった。

 しかし、ロボット110番の魅力の基本が上原正三脚本にあることは間違いない。

 ガンちゃんをガンガラ(とるにたらないもの)ときちんと書いているのは上原正三脚本なのだ。「とるにたらないもの」と面と向かって言われる苦悩こそがロボット110番の持ち味そのものなのだ。

まとめ・ロボット110番とは何だったのか §

 ロボット110番とは、数多く存在する【ロボコンもの】の系譜の中で。唯一ロボコンの後継作品と呼べるものだと思う。

 高度に良心的なロボコンのリメイクと言っても良い。

 しかし、高度でありすぎ、良心的でありすぎ、それが人気に結びつかなかったものと思う。やはり世間はロボットは一杯いた方が良いのだろう。

 それでも自分はロボット110番が好きだ。

 能力がなく、ひたすら周囲から軽く扱われ続けるガンちゃんの苦悩は普遍性を持ち、みんなの感情移入は可能だろう。

 ロボット110番は大いに価値があると思うのだ。

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