「Youtubeで特別公開だったのでつい見ちゃった」
「それでどうだった?」
「うん。良かったところと、これは……というところがあった」
「良かったことは?」
- 序盤パロットモンとの戦闘は絶品
- 活躍するキャラを八神太一と石田ヤマトに絞ったのは正解だろう。全員は活躍できない。無理に見せ場を作るとおかしくなる
- 終盤のかつての仲間が「デジモンと別れない世界」を求める者達として迫ってくるホラー的な展開はかなり凄くて良かった
「では、これは……というのはどこ?」
- 半端に出てくるキャラが多すぎる。特に02のキャラ。あと武之内空が何もしないのはどうなのかな
- 最後に何となく目覚めて味方に戻ってくれるみんな その前のホラー展開が良いのにちょっと興ざめ
- オメガモンが最強ではないってどうなのよ
- 無印と02の世界観は実は違うが、そうするとヒカリとタケルの立ち位置が微妙になる。この映画では無印解釈でヒカリとタケルが出てくるがそうすると、02メンバーがヒカリとタケル抜きで戦うことになって、やっぱりちょっと変
「なるほど。それで全般的な評価は?」
「全般的には良い映画だと思うよ。ただ、デジモンアドベンチャー 02 THE BEGINNINGの方がもっと出来が良い。テーマ性がシンプルで迷わずに結末まで行ける」
「話はそれで終わりかい?」
「ところが重大な事実に気付いたのだ」
「それはなんだい?」
「実はこれを見終わった後で第21話【コロモン東京大激突!】を見たのだが、その時に重大な事実に気付いた」
「なんだいその重大な事実って」
「この映画は太一の明日の予定が決まった時点でアグモンが消滅していて映画が終わるのだが、実は主題歌Butter-Flyの歌詞に【明日の予定も分からない】とあるんだ。だから、デジモンアドベンチャーとは本質的に明日の予定も分からない作品であり、明日の予定が決まってしまうともう終わりって事なんだよ」
「なるほど。あのラストシーンにはそんな深い意味が……」
追記 §
「いや、その解釈を延長すると、蝶のデジモンであるモルフォモンとは、つまり、主題歌で言う【ごきげんな蝶】そのものではないか、という気がする」
「つまり、既に失われてしまったモルフォモンとは、既に【ごきげんな蝶】が失われていて、既に蝶になって飛んで行けない現実を示している訳か?」
「この映画は、それでも未練たらしく蝶を求める物語ということもできるね」
「エオスモンも実は蝶モチーフ?」
「人工的に作られた蝶モドキっていう印象もあるね。大きく開いた翼はあるし」
「ってことは、【ごきげんな蝶】は既に失われて、既に【不快な蝶】しか残っていないわけだな」
「だから太一とヤマトは蝶を否定するわけだ。蝶を否定したらごきげんな蝶で始まるデジモンアドベンチャーは終わる」