2002年02月24日
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ザクが要るのだ

Written By: トーノZERO連絡先

 機動戦士ガンダムという作品が20年以上にも渡って現役で人気を保ち続けている事実は、実に驚嘆に値すると思います。ですが、今、人々がガンダムを見る視線と、最初に登場した時点でガンダムを見る視線は、同じではないかも知れません。

 現在、ガンダムはガンダムというジャンルと言えるほどの大きさと広がりを持っています。それは、ガンダムはガンダムという世界の中で自己完結していると言えます。サンライズはオフィシャルな膨大な設定を持ち、それをバックグラウンドに新しい物語が作られ、それがガンダムという作品世界の広がりをもたらしています。しかし、このような膨大な設定は、最初から存在したわけではありません。1年戦争に関する設定に限っても、半分以上がファーストガンダムの制作後に作られたと言っても過言ではないでしょう。

 では、最初にガンダムという作品を支えた広がりはどこからもたらされたのか。これは、現実の歴史の戦争や軍事の知識であると言えるでしょう。つまり、戦争や軍事の知識を持つマニアから見て、説得力のあるドラマを作ることができたからこそ、ガンダムは人気を集めることができたと言えます。

 そのような説得力を、現在のガンダムが持っているとは必ずしも言えません。たとえばGガンダムがそうではないことは当然のこととして、ガンダムWであっても、軍事的な説得力はファーストガンダムと比較して希薄であると言えます。それの善し悪しはここでは問いませんが、違う路線であるという事実は間違いないでしょう。

 これらの作品間にある、最も大きく重要な変化は、ロボットに対するヒーロー性の認識ではないかと思います。ファーストガンダムでは、ロボットは必ずしもヒーローではありません。オモチャを売るという関係上、主役ロボットであるガンダムには、ある種のヒーロー性が与えられていますが、それを除けば、どのロボットも、量産品か、試作機でしかありません。

 このことを、最もよく示している台詞が、ソロモンを守るドズル中将の「ザクが要るのだ」というひと言でしょう。連邦軍の攻撃が迫る宇宙要塞ソロモンに、増援として最強のモビルアーマー、ビグザムが送り込まれますが、それに対してドズル中将はまったく嬉しそうにしません。つまり、最強のモビルアーマーよりも、何の変哲もない量産品のザクが必要だというわけです。これは、戦争の本質を非常に良く見抜いた脚本と言えます。事実、第2次大戦に於いて、伝説的なエピソードをいくつも残す最強の戦車ティーガーを擁するドイツは負け、明らかに性能の劣るシャーマンでも数をきっちり揃えたアメリカは勝ったのです。戦争は数、という一つの真理が明確に組み込まれたからこそ、ファーストガンダムには説得力が生まれ、人を引きつけたと言えるでしょう。これもまた、ガンダムを巡る様々な真実の一つとは言えないでしょうか?


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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