2002年03月27日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MA-03 アッザム

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 自走砲と呼ばれる陸上兵器があります。大砲を搭載して無限軌道などで移動することができますが、これは戦車とは異なる種類の兵器です。自走砲は、砲兵が扱う大砲に機動力を与えるために自走能力を与えられたもので、後方からの支援砲撃などを行うために使われます。このような兵器は、電子兵器よりも前の時代から有効な戦力として使われていたもので、ミノフスキー粒子散布下の戦場でも有意義な装備として活用されていました。

 地球上に降りたジオン軍は、そのことを何度も思い知らされました。連邦軍とジオン軍が向かい合ったとき、もし連邦軍に時間的猶予を与えてしまうと、連邦軍は、61式戦車の車体に406mm榴弾砲を装備した63式自走砲をかき集め、戦闘開始前に浴びるほど大量の砲弾を浴びせて来ました。確かに、いくら大口径砲とはいえ、榴弾ですから、ザクの装甲を貫通するわけではありません。しかし、榴弾で掘り返された大地をザクが歩くと、足を取られて転倒することも珍しくなく、ジオン地上軍には頭痛の種でした。しかも、大量の砲弾を浴びせかけられるジオン軍兵士の心理的ダメージも馬鹿になりません。精神の平衡を崩す者も珍しくありませんでした。

 自走砲は重要な兵器だ、という認識は、戦車ほど素早くはありませんが、ジワジワとジオン軍内に広まりました。

 ジオン軍の首脳が、やっぱり自走砲も必要だよね、と言葉を交わすようになった頃、すかさず提案されたのが、地上専用の火力支援モビルアーマーでした。

 大型のシャーシの上に、榴弾砲を搭載し、下部はオプション選択により、無限軌道、四足歩行、ミノフスキークラフトを選べるというものでした。通常は無限軌道、山間部など地形の起伏が激しい場所では四足歩行、そして、機動的に迅速な展開が必要な場合はミノフスキークラフトで移動するというプランでした。

 とはいえ、ミノフスキークラフトなど海のものとも山のものとも分からない新技術ですから、これはあくまで可能性を示唆したものであって、それが主な移動方法という提案ではなかったのです。

 しかし、このプランに、ジオン軍内のミノフスキークラフトの研究部門が大感激して協力を約束したところから、歯車が狂い始めました。本当は、無限軌道で移動できる支援火力を手早く実現して量産すべきところでした。ところが、技術者がはたと気付いたとき、ミノフスキークラフトの研究予算の一部まで、機体の開発予算の一部にまわされていたため、どうしても第1号機はミノフスキークラフトで飛ばさねばならない状況に陥っていたのです。

 その上、ミノフスキークラフトの研究から派生したリーダーなる兵器もテストしたいので搭載して欲しいという要望も受け入れざるを得なかったのです。何しろ大気圏内の飛行技術の研究者達ですから、軍内で彼らを相手にしてくれる部門はほとんどありませんでした。新兵器を作っても、それを搭載してみようという部門はどこにもなく、無理が利く唯一の相手であり自走砲プロジェクトに押し込むしかなったのです。

 しかし、その新兵器は機体下部を超高温状態にして、その中に取り込んだ敵を破壊するというもので、後方から支援砲撃する自走砲とはまるで交戦距離が異なるものでした。

 さすがに、これではまとまるものもまとまらない、と思った関係者は、キシリア・ザビに泣き付きました。

 ところが、キシリア・ザビは、自走砲の有用性には理解を示さず、むしろリーダーの破壊力に興味を示しました。当時、たまたま、何発当てても装甲を破れない連邦のモビルスーツ(RX-78)が話題になっており、桁違いに大きな破壊力を持つ兵器への興味が高まっていたのです。

 とはいえ、自走砲の開発として始まったプロジェクトである以上、キシリア・ザビの独断で、砲など不要とは言えませんでした。そのため、当初の構想よりはスケールダウンしたものの、155mm砲を複数搭載して火力支援にも使用できるように配慮されました。

 しかし、この155mm砲は、リーダー使用中の自衛用火力も兼ねるものとされたため、砲は機体の全周囲、4方向に固定され、一方向に支援砲撃する場合は、何と4分の1の砲しか使えないという構造に成り果てていました。

 それでも、キシリア・ザビの肝いり兵器ですから、MA-03の正式ナンバーが与えられ、アッザムという愛称も付けられました。アッザム(Assam)とは、キシリア・ザビが最初にリーダーの話を聞いたときに飲んでいた紅茶の銘柄の名前であると言われています。

 さっそくアッザムは地球に降ろされ、キシリア自らアッザムのコクピットに乗り、実地試験に立ち会いました。その結果、4000度の高温を発生させることに成功しました。

 これは凄い兵器を手に入れたとご満悦のキシリアは、アッザムに乗ってオデッサ周辺の鉱山基地を視察してまわることにしました。もちろん、この凄い兵器を見せることで、士気を高めることが目的でした。

 さて、ある基地で、偶然RX-78と遭遇しました。そしてリーダーによってRX-78を封じ込めることに成功しました。誰もが、RX-78の破壊を確信しました。しかし、アッザムは確かに大気を高温にすることは可能でしたが、総熱量は大したことはなく、熱容量の大きいRX-78の装甲板の温度はさほど上がることはありませんでした。確かにコクピット内はパイロットが音を上げるほどの高温になりましたが、それとて、過酷な宇宙空間で運用することを前提としたモビルスーツにとっては許容範囲内の温度であったのです。

 結局、巨大な金属の塊であるモビルスーツを焼き尽くすにはこの程度の熱量では足りないことが分かり、キシリアはリーダーの開発援助を停止しました。アッザムは自走砲としても使いにくく、結局、誰にとっても忘れたい思い出として、関係者の胸にしまわれたのでした。

 その時点で生産中だったアッザムは全て生産取りやめとなり、アッザムに搭載予定だった155mm砲は、宇宙ア・バオア・クーなどの防衛用に転用されました。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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