2002年04月07日
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宇宙世紀の駄ッ作機 MS-14 ゲルググ(続き)

Written By: トーノZERO連絡先

 正統があれば異端あり。異端の宇宙世紀史へようこそ。

 ホリー・オーヴァー設計技師が最初に作成したMS-06後継機種、仮称スーパーザクの計画案はこんなものでした。

 まず、MS-06用の設備や装備をそのまま利用するために基本的な大きさはMS-06とほぼ同等としました。そのかわり、機器の配置を入れ替えることで配管などを短く節約し、スペースに余裕を作り、重量を減らします。そして、その余裕を使って、MS-06で採用されたラッキースターエンジンよりも大型のマーク9エンジンを搭載します。出力の余裕を活用して、装甲の強化と、より大型の兵器の搭載を実現します。全体的には、よりパワフルなザクという呼び名がふさわしいものでした。

 しかし、軍の要求は微妙に違ったものでした。軍は、エンジンとして、マーク9ではなくオナーの搭載を強く求めました。オナーは、ラッキースターとほぼ同じ径でありながら出力が5割増近いという画期的なエンジンでした。これを搭載すれば、よりコンパクトな機体になるはずだと軍は考えていました。

 軍の要求はそれだけではありませんでした。MS-06で実現されていたあらゆる使い方が新型でも可能でなければならないとしました。つまり、支援型や強行偵察型や地上専用などのバリエーションも、容易に実現可能でなければならないとしました。そのためには、大きなスペースの余裕が必要だったのです。つまり、大型のエンジンを搭載して、しかもザクのサイズでは、納めたいものが収まりきらないので、コンパクトなエンジンにこだわったわけです。

 しかし、いくらオナーが画期的な高出力エンジンと言っても、ホリー・オーヴァー設計技師が選んだマーク9エンジンと比較すれば出力が足りません。オナーの出力では、各種装備を全て積んだ状態でザクを超える機動は困難でした。

 つまり、軍の要求は、最初から実現不可能だったと言えます。

 ともかくお客様は神様ですから、軍の要求通りの試作機X-08が作られました。しかし、もともと出力が足りないものはどうにもなりません。到底、ザクの後継機と胸を張れるだけの性能は発揮できません。

 軍が、ああでもない、こうでもないと試作機をを何ヶ月もいじくりまわしている間、ホリー・オーヴァー設計技師も遊んでいたわけではありませんでした。実際に戦場で使われているMS-06に対する様々な設計変更の要求が送られてきて、それに対応することに忙殺されていたのです。砂漠戦用が必要だとか、基本設計はザクのままでいいから、エンジンだけ出力アップした高機動型ができないだろうか、といったせっぱ詰まった要求に対応するだけで忙殺され、MS-06後継機の件はずっと棚上げ状態が続いていました。

 この生ぬるい状況は、連邦軍のモビルスーツが出現したことで一変しました。連邦軍のモビルスーツの装甲と火力はザクを上回っていたのです。ただでさえ国力の小さいジオンとしては、兵器の数で連邦を圧倒することは難しく、どうしても個別の兵器の性能を高めることで数の不足を補う必要がありました。そこから考えれば、性能が同等でも不足であり、どうしても敵に優越する兵器を量産しなければならなかったのです。

 状況がメンツを乗り越えさせ、MS-06後継機の開発は仕切り直しとなりました。

 エンジンの選定は白紙に戻され、機体のサイズもザクと同等という制約を外し、機体の大型化も許すとしました。ムサイに搭載できねば困るという前提に変わりはないものの、機体の大型化に伴い搭載機数が減ることは許容するとしました。

 更に、もう一度の失敗は許容できないということで、競争試作の形が取られ、別プロジェクトが別個のザク後継機を開発することも決定されました。

 また、優先順位もはっきりと、ザク派生型よりも、ザク後継機が優先すると決められ、ホリー・オーヴァー設計技師はザク派生型の開発から解放されました。

 こうして、あらゆる面でザクに勝る画期的なモビルスーツの開発が突貫作業で進みました。

 最前線からエースパイロットを呼び戻し、様々な意見を聞くということも行われました。実際エースパイロットがザクを駆使して行う戦闘が記録分析され、それを更にパワーアップするように機体バランスの調整も行われました。

 そして、大型でパワフル、それでいてパイロットの微妙な操作にも即座に応える繊細さを兼ね備えたモビルスーツが完成しました。

 この機体の愛称にザクの名を使うことは取りやめとなりました。この頃既にザクは、時代遅れのイメージがつきまとっていたからです。その代わりに選ばれたのは、「疾風のごとき優れた銃」(Gale Good Gun)を縮めたゲルググという名前でした。MS-14ゲルググは誕生したのです。

 続きます。


ご注意: このコンテンツは、「バーチャルネットライター と~のZERO歳」と呼ばれるサイトに書き込まれた内容を変換して、本サイトに転送したものです。このコンテンツの内容は、「と~のZERO歳」という仮想人格が書いたものという設定であり、謎のアニメ感想家トーノ・ゼロと限りなく近いものの、必ずしも同一人格ではないことをお断りしておきます。

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