今回は大人の世界でした。
謎多きベアのプライベートがだいぶ明かされました。いつも何でも分かっている大人の態度だったベアも迷いあるオジサンであることが明らかになりました。
むしろ、今回はベアの迷いの話であったと言った方が的確かもしれません。
ベアは子供もいる離婚経験者ですが、子供と話をする場所が仮想空間の中というある種の屈折した状況にあります。そして、愚痴を言う相手としてはBTがいるようですが、彼女と愛し合って結婚したいというよりは、割り切った付き合いで時々会うだけ、という風に見えます。実際、BTがベアの好きなタイプかどうか分かりません。ただ、ベアが逃げ込める場所がBTぐらいしかない、ということなのでしょう。
今回は、BTが居心地の良い逃げ場所にならず、ベアは昴のところにまで出向いてしまいます。大の大人が、そんな風にカリスマ的な人物に会いに行くなど、ベアの美学とはちょっと違うような気がしますが、それほどまでにベアは打ちのめされた状態にあったというところでしょう。
しかし、ある意味で幸運なことに、昴はベアが望む示唆を与えたわけです。
結局のところ、(理由はともかく)ベアはお節介にも人と関わりたくて仕方がなかったわけです。そのことは、ベアが「ザ・ワールド」に参加して、毎日のようにログインしてくることからも明らかです。人と接しようと言う意志の無い者が、マルチプレイヤーの仮想空間に来る訳がありません。そこで、こんな自分に人と接する資格があるのだろうか、と悩むことは誰にでもあることですが、特に自分の実像を夢を交えずに直視できてしまうオジサンには大きな悩みとなる場合があるのでしょう。人は綺麗なものではないし、年を重ねれば、純粋さは失われるのです。
それとは別に、橋の上と下の司と昴の出会いのシーンは非常に良かったですね。ほとんど台詞が無く、顔や身体の表情でほとんど全てを語り切ってしまっています。この演出力の高さは、見事だと思います。
萩尾望都の引用に関しては残念ながらと~のは何もコメントできません。百億の昼と千億の夜とか、ポーの一族は昔読んだような気がしますが、ほとんど中身は忘れました。
と~のは、「司とは友達だよ、えへ」と笑えるミミルを応援しています。
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