2003年8月9日14時27分。
長い間電源を入れっぱなしで稼働していたlinaお爺ちゃんのシャットダウン開始が開始されました。
linaお爺ちゃんとは、Compaq ProLiant 800というサーバパソコンに付けられたニックネームです。Pentium Pro 200MHzという既に世間から忘れ去られた旧世代のCPUと、買った当初は破格の大容量だけれど、今となってはあまりに物足りない192MBのメモリを積んでいました。マシン名としてlinaという名前を付けたので、ずっとlinaちゃんと呼ばれていましたが、最近は性能面で非常に苦しい状況になっていて、「linaお爺ちゃん」と呼ばれるようになっていました。
このお爺ちゃんの上で、Windows 2000 Serverが稼働し、.NET Framework 1.1がインストールされ、りすと亭バージョン4が動作していました。それにより、日本XMLユーザーグループのメーリングリストを提供していました。公開されているものだけで11個のメーリングリストがあり、最大の登録ユーザー数を持つXMLユーザーメーリングリストは登録メンバー3700名を超えるメーリングリストとしてはかなり大規模なものでした。それを、この非力なお爺ちゃんが支えていたのです。
linaお爺ちゃんがいつから稼働を開始したかは、すぐに資料の数字が出てきません。ちらっと見た範囲でいうと、1998年11月3日のタイムスタンプを持つハードディスクのベンチマーク結果のファイルがあったので、この日付以前に稼働開始していることは間違いないでしょう。サーバ以外に使いようのないパソコンですから、それ以後、少なくともほぼ5年間はノンストップで動き続けたことになります。その間、トラブルが起こる頻度は極めて少なく、やはりCompaqブランドは馬鹿にできないという印象を残しました。
そんなlinaお爺ちゃんが引退しなければならなくなったのは、夏の暑さにやられたのか、頻繁に再起動に失敗する状況に陥ったためです。linaお爺ちゃんは、毎朝3時頃にスケジュールされた再起動を実行していました。これは、りすと亭バージョン3の時代に、JavaVMのガベージコレクションが上手く実行されず、占有メモリ量がひどく膨らむ問題があったことに対応するために設定したものでした。しかし、再起動でBIOSが立ち上がったときに、温度に問題があるのでクールダウンに5分待つ、というようなメッセージが出てから、永遠に待ち続ける問題が発生しました。クールダウンしてから起動しようとするCompaqのBIOSの機能にも感心しましたが、いくら待っても起動が開始される気配もありませんでした。電源ファンが止まっているわけでもなく、電源を切ってしばらく冷やせば起動できたので、たまたま止まっただけかと思ってしばらく様子を見ました。しかし、これが3回ほど繰り返された時点で、もうlinaお爺ちゃんの寿命は尽きたと判断せざるを得なくなりました。そこで、他のハードに必要な処置を取って必要なファイルやサービスを移管後、2003年8月9日14時27分に全ての仕事を終了させるために、シャットダウンを開始させたのでした。
さて、ここで問題なのは、どうしてこんなに非力なお爺ちゃんが稼働し続けていたかです。本当は、もっと早期にlinaお爺ちゃんには引退していただく予定でした。それが、今までずるずると使い続けていたのはなぜか。動作しているからという状況に甘えていたと言うこともあります。しかし、最大の理由は日本XMLユーザーグループのメーリングリストサーバについて、ポート80にしてくれ、というリクエストが利用者からあったためです。その時点で、他にもいくつかサーバがありましたが、それらのサーバはポート80でIISやApacheが動いており、それらのサーバでメーリングリストサービスを動かすことができなかったのです。そのため、日本XMLユーザーグループのメーリングリスト専用機として、linaはどうしても動作し続ける必要があったのです。
もちろん、単に引退させることができないというだけでは済まされない問題もあるので、いくつか対応の秘策は練っていました。しかし、秘策が実現される前に、linaお爺ちゃんの引退という事態に陥ったわけでした。
幸い、すぐにサーバパソコンとして使えるパソコンが1台ありました。数ヶ月前に、別のサーバであるerikaを新ハードに移行した時に、旧erikaのハードが丸ごと手つかずのまま残っていたのです。それをlinaの移行先として復活させました。旧erikaは、Pentium III/550MHz、メモリ256MBで、Visual Studio.NETでいろいろいじるのには非力すぎるため引退したものですが、単にメーリングリストをサービスするだけなら十分です。
その結果、ちょっとした妙な状況になっています。
lina.piedey.co.jpという名前でアクセスされるホストは、内部LAN上ではerika.tokyo.piedey.co.jpという名前を持っています。そして、erika.piedey.co.jpという名前でアクセスされるホストは、内部LAN上ではmint.tokyo.piedey.co.jpという名前を持っています。つまり、名前が一つずつずれているわけです。
さて、これらのトラブルから、サーバパソコンについていくつか思ったことがあります。(ということは、ここからが本題ですね。何と長い前振りでしょう!)
約5年間ノンストップで安定して動作したProliant 800はやはり良いサーバパソコンだったと言えます。やはり、トップメーカーの製品は、個人があり合わせのパーツで作ったものとは出来が違うなと思いました。OSのアップグレード時の様々な情報やドライバの提供なども行われていたし。予算があれば、やはり、こういうトップブランドのサーバ専用機を買うのも悪くないと思いました。
とはいえ、良いことばかりではありません。linaお爺ちゃんは、結局、ハードディスクやメモリを購入時点のものから拡張せずに引退の日を迎えました。ハードディスクは4Gバイトでしたが、これはすぐに不足する状況となりました。しかし、専用の取り付け金具が必要で、ちょっと余ったベアドライブを差し込むだけでは済まず、かといって高価な専用オプションのHDDを買う予算もなかったのです。更に時間が経過すればするほど、オプションが入手出来るかどうかも怪しくなっていきました。その点で、どんなパーツも自由に交換の対象になる自作機や、ショップブランド機のようには行かない感じでした。こういうメーカー品を買うときは、そういうオプションの価格や、入手可能時期についても配慮しておく必要がありそうです。そして、それを含めて考えると、メーカー品はかなり高く付く感じがするのはやむを得ないでしょうね。結局のところ、偶然転がり込んできたような形でやって来たlinaお爺ちゃん以後、こういう大手ブランドのメーカー品のサーバパソコンは1台もうちには入っていません。
それでも、本当の予算があるなら、本当に良いサーバパソコンを買う価値はありそうだと思いました。
2003年8月11日17時39分追記:
最近の状況は少し違うようです。以下のような指摘をもらいました。
「IBMは専用金具要りません。DELLは基本的に今は全ベイ分添付です。IBMの難点は、上位機種だとインシュレーターの噛んだマウントになるので、金具は要らないもののネジが事実上専用ネジ(でも添付はされてくる)になると言う点でしょうか」