これは間抜けについての話です §
ATOK16(これよりも前のいくつかのバージョンのATOKを含む)でテキストを入力していると、バックグラウンドで重いプロセスが走っていると、変換がひどく重い!という状況によく遭遇します。
そのことには、かなり前から気付いていて、何とかならないものかと思っていました。しかし、「思った」だけで終わったところが間抜けなところですね。対策は難しいことではなかったのです。
なぜATOKなのか §
それはさておき、なぜATOKなのか。Windowsの標準のIMEなら、重くなっても極端に重くなることはありません。それにも関わらず、あえてお金を出してATOKを買う理由は何か。
それは、圧倒的な入力効率と快適さです。ATOK4以来、指がATOKの奴隷になっているという状況はありますが、これはキーカスタマイズで逃げられる状況です。実際、ATOKを離れて強力なキーカスタマイズの元祖とも言えるWX2を使っていた時代もあります。
ものを書くということが仕事になっている状況では、わずかな差であっても、それが仕事の効率の差となって現れますから、IMEの選定は、シビアで重要なものと言うわけです。とはいえ、最近ではMSのIMEとATOKのどちらを使うか、ぐらいしか選択の余地がないのが寂しいところですが。昔は、もっと多くの種類があるだけでなく、「風」のような面白いものもありましたが。
本筋と関係ない「風」の話題 §
いや、過去形で言ってはいけないのかな。「風」は風のくにに、しっかりとあります。
どうでも良い余談を言うなら、「風」の最初のバージョンのパッケージは買いましたよ。初期のATOKと併用したときに安定しないので、使用を中止したような記憶があります。誤変換の修正頻度が高い1980年代には、習熟すると極めて効率が高そうな「風」は魅力的に見えたものです。
余談終わり。
検索してすぐ見つかった解決策 §
話を元に戻しましょう。
たとえバックグラウンドで重い処理が走っていたときに異様に重くなるにせよ、そんな事態は滅多に起きないわけで、そうでない時に入力効率が高いことはとても価値があるということで、ずっとATOKを使ってきたわけです。
しかし、異様に重くならない方法はあったのです。
軽く、googleで「ATOK16 負荷」として検索してみたところ、さる掲示板に2つの情報を見つけました。1つは、ATOK16のプロセスの優先順位を上げ、アプリの優先順位を下げる方法。もう1つは、オンメモリ辞書です。
オンメモリ辞書というのは、ATOK16のヘルプを見ると、以下のように説明されています。
辞書の内容をメモリに格納させて、変換速度を速くします。
変換のときのハードディスクへのアクセスを抑えることができるので、ノートパソコンのバッテリの消費電力を抑えることができます。ノートパソコンでATOKをお使いの方におすすめの機能です。
この説明から、高負荷時の改善に効果があるとは、ちょっと読み取りにくいですね。かなり想像力が要求される感じがします。
設定手順は、こんなに簡単。
- ATOK16のプロパティを開く
- 辞書・学習タブを選択
- オンメモリ辞書をチェック
- OKをクリック
この機能を使うと、使用メモリ量が増加するようです。また、メモリが少ない場合は効果が出ないこともあるようです。
実際に試してみると、軽々と変換ができるようになりました。
というわけで、こんなに簡単に解決できるのに、ずっと検索して調べようとしなかった私は間抜けという話でした。
残されたミステリー §
実は1つのミステリーが残されています。
オンメモリ辞書で実現されることは、「ハードディスクへのアクセスを抑えること」であるように読めます。しかし、ハードディスクへのアクセスが少ないが負荷が重いプログラムを走らせていても、実際に改善ができているように見えます。もうちょっと、いろいろなケースで使ってみようと思いますが、まだ何かあるかもしれません。
2003年11月12日追記 §
この方法を使うと辞書が壊れるという現象が起きる場合があるようです。私は経験していませんが、このコンテンツを読んで試した人が、辞書ファイルが壊れた状況を経験したそうです。
どの条件で辞書ファイルが壊れるのかは明確ではありません。ただ、辞書を置いたドライブのフォーマット形式として、私はNTFS、壊れた人はFAT32を使っていたという相違はあるようです。
2003年11月21日追記 §
私も辞書が壊れました。NTFSでも壊れました。というわけで、NTFSなら壊れないという話も無いようです。別ユーザーIDでログオンしてバックアップした辞書ファイルを戻して復旧できましたが、オンメモリ辞書はちょっと危険かも。使う人は、このリスクを認識した上で使って下さい。