頭を鍛えなくても生活できるIT(情報技術)社会の到来が、健忘症の若者の増加と関係あるという記事を見つけました。
■「IT」で若者がぼける? 言われたことや予定を忘れる
基本的には、ITを使うことと、頭を使わないことがイコールで直結するとは思いません。とはいえ、コンピュータを前に頭を使わない人達が存在することは間違いないですね。たとえば、技術系メーリングリストに来る、マニュアルに書いてあること、検索するとすぐ分かることを何でも教えてもらおうとする「教えて君」。仕事として請け負ったプログラムの作成方法を、自分で調べようとせず、タダで教えてもらおうとする、とんでもない横着者もいます。全体の中で多数派とは言えませんが、そういう頭を使わない人達がいて、それがこういう記事ができる理由になっていると言われると、100%は否定できないところがあります。
それはさておき、前から気になっていることが1つあります。コンピュータゲームをプレイする際に、頭を使わない人達というのが確かにいます。コンピュータゲームというのは、それがゲームの一種である以上、頭を使ったり長時間の集中力が必要とされたりします。ですから、ゲームをプレイするということは、頭を使って知恵を絞って問題を解決する能力があったり、長時間の集中ができたり、必要な情報を暗記することができたり、そういうスキルを獲得することだと言えます。しかし、実際には、そのようにしてゲームをプレイしない人達というのも存在します。たとえば、ロールプレイングゲームで、勝てない敵に遭遇すると、すぐに経験値稼ぎに行ってしまう人達がいます。ロールプレイングゲームの全体の状況は分かりませんが、少なくとも、日本で主流の家庭用ゲーム機で多く見られるもの (ネットワークのロールプレイングゲームは除く) は、様々な魔法やアイテムや特殊技を上手く活用すると、かなりのところまで勝てるように作られています。これはゲーム性の高い巧妙なデザインだと思います。しかし、「このモンスターの行動パターンに、この特殊技をぶつけると、大きなダメージを与えられて勝てそうだな」ということを考えることなく、経験値を稼いで自分のキャラクターの力を強くして対処してしまうプレイヤーをけっこう見かけます。しかし、それはゲームデザイン的に本来意図されたプレイスタイルではないような気がします。
こういう態度は、けしてITのまわりだけで見られるものではないと思いますが、ITのまわりにもけっこういるぞ、と言われれば否定できないところがあります。
うーん、難しい問題です。
とりあえず、あてにならない提案を1つ。
「横着をするために頭を使え」
ロールプレイングゲームでいえば、経験値稼ぎは時間も掛かるし退屈な作業です。それを解消するために、頭を使うのは、けして面倒なことではないはずです。むしろ、それこそが、楽をする手段と言えますね。
技術系メーリングリストに質問する時も同じです。質問する前にマニュアルを見るとか、検索エンジンで探してみるのは、明らかに楽をする手段です。
そういうところに、ちょっと頭を使えば、とても楽ができます。
頭を使って楽ができることに慣れると、もっと楽がしたくて、もっと頭を使うようになります。そうなれば、もう、頭を鍛えていない、などと言われることもなくなりますね。