謎のアニメ感想家(笑)、翼の騎士トーノZEROのアニメ感想行ってみよう!
今日の巌窟王の感想。
サブタイトル §
第十五幕
幸せの終わり、真実の始まり
あらすじ §
モルセールの演説会に来たエデは、そこで真実を暴露し、復讐を果たします。しかし、そのあとでエデは後悔します。そして、伯爵に同じことをさせてはいけないと言います。
伯爵はアルベールを地球に帰し、自分もまた戻ります。
フランツは、巌窟王の謎を求めてヴァランティーヌの祖父に会いに行きます。そして、彼の記憶の世界に入ることを許されます。
感想 §
私はなぜ、こんな風に膨大なアニメの感想文を書き記しているのか。
その理由が強く実感できました。
極論すると、アニメを見ている私という存在は、私が満足できるアニメさえ見ることができれば良いはずです。そのアニメに人気があるかどうかも、ビジネスとして成功するかどうかも、他人がどのように評価しているかも知ったことではない、と言えます。他人が何と言おうと、それは関係のないことです。
が、しかし。
そのような割り切りは、実は嘘です。
人はコミュニケーションする動物であり、そして一人では生きていけません。
であるから、私は自らの感動、見出した価値について、他人に伝えようとする努力を止めることはできません。
もちろん、このような感想を書くだけで、それが誰かに伝わると保証される訳ではありません。しかし、具体的に誰がこの文章の受け手であるかも定かではない状況で、特定の誰かに宛てた文章を書くこともできません。どこかにいる可能性のある誰かに届くという微かな希望を抱いて、不特定多数の目に触れる場所に感想を書き続けることしかできません。
しかし、それは、けして徒労ではない。
時として誰かに届くのだ、という気持ちを抱くことができます。
今回の巌窟王は、そんな気持ちを私の中から呼び覚ましてくれました。
たとえば、自分は復讐にだけに生きていると思い込んでいたエデが、終わって激しく後悔するを見ると、そんな気持ちも呼び起こされます。
更に感想 §
そう。
今回の内容で最大の見どころは、やはりアルベールと伯爵の別れでしょう。
純情にも伯爵との永遠の友情を求めるアルベールと、アルベールの父を奸計で破滅させる最終段階にある伯爵。
本来ならば、傷つくべき存在はアルベールです。まるで親友であるかのように振る舞ってきた伯爵が、実は父を陥れた陰謀の張本人であるからです。
しかし、実際にはそうではありません。
最も傷ついたのは伯爵本人であると言えるでしょう。
アルベールとの別れのシーンで見せる、あまりに情けない表情。
そして、別れた後の狂ったような大笑いと、悪魔のような顔つき。
この伯爵の心情の表現は、とても凄いです。
この激しい感情のうねりに、見ていて飲み込まれそうになります。そして、それはある種の哀れみを感じさせ、けして嫌悪は抱かせません。
もっと感想 §
ビジュアル表現もなかなか凄いですね。
ヴァランティーヌの祖父の手首がいきなり回転してポロッと落ちる描写。ショッキングですね。
更に、中から出てきたペンが、勝手に自分で動いて文字を書くというのも、新鮮な面白い描写です。空中に文字が浮かび上がるような陳腐でつまらない描写とは訳が違います。しかも、パスワードを手描きすると認識するという対話性まで描かれています。
それから、音楽の良さも特筆すべきところですね。音楽もとても良かったと思います。
今回の名台詞 §
フランツ「君だって被害者だ。真実は自分自身で探すんだ」
この台詞は非常に重要です。被害者という言葉を使っているということは、既にフランツは一連の出来事が単なる偶然ではなく、人為的に起こされていると確信していることを意味します。そして、真実は自分自身で探せ、という言い方は、自分の身近な人達ですら嘘を付いているかもしれないという可能性を示唆します。