2005年09月02日
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電車男オープニングアニメーションについての若干の補足

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

 テレビドラマ、電車男のオープニングアニメーションについては、既に鉄道車両にフォーカスした感想を書いています。

 しかし、ヒロインの女性について触れておくことも悪くないと思って、付加的な感想を書いておきます。

オタクの世界・非オタクの世界 §

 女性の描き方1つ取っても、オタクの好みのものと、そうではないものがあります。

 実際に、描き方がオタクの好みではないというだけの理由で、オタクから見向きもされないアニメというのも存在します。

 電車男オープニングアニメーションが下敷きにしているDAICON4オープニングアニメーションは、まさにオタク好みの女の子を主人公に据えた作品であると言えます。

 では、そのテイストを再現した電車男オープニングアニメーションは、オタク好みの女の子を描き出しているかというと、実はそうではないと気付きました。

2つの作品のヒロインの対比 §

 DAICON4オープニングアニメーションの主人公は、以下の特徴を持ちます。

  • 年齢が低い
  • 体の凹凸を強調する典型的なバニーガールのコスチュームを身につけている
  • 子供っぽく速いテンポで動き回る
  • 口は小さく記号的

 一方で、電車男オープニングアニメーションの女性は、これらの特徴に真っ向から逆らう特徴を持っているように見えます。

  • 年齢が高い大人の女である
  • バニーガール風であるが、体の凹凸を過度に強調しないコスチュームになっている
  • 動きは素早いが、子供っぽい過剰な動きは見られない
  • 比較的リアル系の口を大きく開くこともある

コスチュームの差 §

 特にコスチュームについては補足する価値があるでしょう。

 DAICON4オープニングアニメーションの少女のお尻には、正統的なバニーガールコスチュームの定番であるウサギの尻尾が付きます。これは、お尻の膨らみを強調する方向に作用するアクセサリです。

 しかし、電車男オープニングアニメーションの女性は、お尻に2本の大きなニンジンを付けています。この巨大な突起物は、逆にお尻の膨らみを実感しにくくさせる効能を持つように思われます。

 また、カメラワーク的に、胸の膨らみやお尻を強調するようなカットが存在しないことも特筆すべきでしょう。そういった、オタク向けアニメの定番的な描写は、徹底的に排斥されています。

実はオタクの好みから逸脱しているのでは? §

 このような比較から浮かび上がってくるのは、電車男オープニングアニメーションが徹底的にオタク的なコンテキストに則った正統的なアニメ作りを指向しているかのように見せつつ、実は最も本質的な部分でオタク趣味を突き放しているという可能性です。

 では、オタク趣味を突き放して、この作品は何を目指そうとしているのでしょうか?

 それは、成熟し、自立した大人の女性と、その価値を認める者達に、オタク的世界観の中に居場所を与えることではないか。そのような印象を持ちました。

 つまり、この作品が主に想定している視聴者層は、オタクではまったくないということです。

 本来相反しているかもしれないオタク文化と非オタク文化のある種の融合と言うこともできるかもしれません。ただし、あくまで軸は非オタク文化にあり、それをオタク文化的な表現手段で装飾してみた、という形になります。

 そして、そのことは私にとっては非常に好ましいチャレンジに思えます。

 オタク文化には既に軸となるだけの確固たる核は存在せず、その価値をどこかに継承していくとすれば、それは非オタク文化との別の関わりの獲得しかないと思えるためです。

オタクの居場所が存在しない作品 §

 電車男オープニングアニメーションの女性は、103系の上に自信たっぷりにスタイル良く立ち、そして、前を見つめ続け、大きく口を開いて微笑みながら飛び去ります。

 このプロセスの中で、実はこの女性は一度もカメラ目線を投げません。彼女は自分が進むべき方向だけをしっかりと見ていて、彼女を見ている者達を意識する仕草を見せません。

 オタクの存在意義とは、(自分が見られることなく)対象となる女性を見ることである、という考え方を取るなら、自分を見ている者を意識する仕草や、そのような者を求める態度が一切存在しないこの作品において、オタクの居場所は存在しないと言うことができます。

 この作品と同化できるのは、この女性に感情移入し、つまりこの女性になりきって遠い希望の世界に飛び去る気持ちを共有できる者だけです。オタクが行動の主体ではなく傍観者に過ぎないとするなら、オタクはこの作品から排斥されます。

 オープニングアニメーションを離れ、テレビドラマ電車男について考えてみた場合、これは、オタクがどう受け止めるかはともかくとして、オタクに好意的な作りであると感じています。

 しかし、オタク向けの作品とも思えません。

 オタクに対して好意を持つということと、オタク向けに作るということは、イコールではないということです。

 このジレンマを提示し得たということが、このオープニングアニメーション、ひいてはテレビドラマ電車男の存在意義と言えるのかもしれません。

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