広川太一郎さんの訃報は衝撃でした。
衝撃の度合いは、他の有名人の訃報以上です。
おそらく、世間の偉人ではなく、私の偉人だからでしょう。
さて、こう書くと以下のように解釈する人がいるに違いありません。
宇宙戦艦ヤマトの古代守役だったから。そして、放送期間が短縮されなければハーロックを演じたはずの人であるにも関わらず、TVアニメの「キャプテン・ハーロック」の声優にならないことに衝撃を受けた過去があるから。
しかし、この解釈は誤りです。
なぜなら、広川太一郎さんの真の価値は、こういったアニメには現れていないと思うからです。
では、何にそれが現れていると思うか?
それは海外TVドラマのダンディ2 華麗な冒険の吹き替え等において、です。これはもう、子供心に夢中になるほど素晴らしい語りでした。しかし、子供には遅すぎる放送時間だったので、あまり見せてはもらえませんでした。とても残念。
内容的には、後年のビーストウォーズにおける声優演技のアドリブに近いものがありますが、時期的には圧倒的に先行しています。
その素晴らしい語りは、以下のファンサイトにも掲載されていますが、実際に聞かないと分からないかも。
しかし話はこれで終わりません。
実は、これと同時期に、ラジオ関東で広川太一郎と豊岡豊による「プレイボーイ2」という番組があって、同様の話術が披露されていました。これを、電子ブロックで組んだゲルマラジオでこっそり聞いていたような記憶があります。そして、それだけの手間を費やして聞くだけの価値があったのです。
非凡な言葉と語りの言語センスと、それを表現する美声、実に見事だったと思います。
日本語表現に新しい地平を切り開いたかもしれません。
今の自分の原点の1つは、紛れもなくこの「語り」にあると思います。
であるから、ご冥福を心からお祈りしています。