何気なく東京都下水道局 下水道台帳を見ているときに気付きました。
この台帳には下高井戸のあたりで、玉川上水の橋として、小菊橋と下高井戸橋だけ名前が記載されています。よく考えてみると、この2つは確かに地面の下がった部分をオーバークロスする形で橋が架かっています。下に水は流れていませんが、橋ではあります。
そして、連想して思い出しました。都営新宿線に曙橋という駅がありますが、この曙橋とは道路をまたぐ道路橋の名前です。これもまた、立派な橋です。水をまたいではいませんが、確かに橋です。
……ということは、埋め立てられて水が流れなくなったからもう橋ではない……というのは短絡的な判断であり、実は埋め立てられた地面の高さと実際に通行が行われる高さの落差が大きい場合、それは「橋」としての立場や機能性を維持したまま残存しているのではないか。
更に言えば、この近所では小菊橋と下高井戸橋だけ欄干が残っていて、橋の名前が記されているのは、単なる遺構なのではなく、まだ実際に現役の橋だからではないのか。
……ということを考えてしまいました。
この考えが正しいか否かは、もっと事例のサンプルを増やして検証したいと思いますが、はたして適切なサンプルが他にあるか……。
ここで名前を出した3つの橋の航空写真を以下に付けます。
小菊橋 §
下高井戸橋 §
曙橋 §
余談 §
実はこうして考えると、玉川上水の小菊橋から下高井戸橋にかけての部分は、等高線に沿って作られていないことが分かります。たとえば、もっと上流のいわゆる「汽車の公園」のあたりは、崖っぷちぎりぎりに玉川上水が作られているにも関わらず、小菊橋から下高井戸橋にかけての部分は崖っぷちぎりぎりを等高線に合わせて作らず、余裕のある高地を深く掘り下げて水路を造っているように見えます。そして、玉川上水の暗渠化された部分はほとんど全て歩いていますが、このような構造になっているのはおそらくここだけです。これもまた、玉川上水の謎の1つかもしれません。
いずれ機会があれば調べてみたいと思いますが、はたして史料があるか……。