ヤマト完結編の頃の私の夢は、LPを散々聞いた上で映画を見るというものでしたが、お金があまり無く、果たせませんでした。
今回こそは、と思いましたが映画OSTはまだ来ていません。しかもLPではなくCDです。
しかし、交響曲ヤマト2009は来ました。
音はゆっくり聴くとして、最初の感想を。
面白い! §
面白いと思ったのは、全体的な構成です。
映画名、曲名を除き、宇宙戦艦という言葉は出てきません。コスモタイガー等の言葉も曲の解説の中の少し出てくるだけです。絵としての「宇宙戦艦ヤマト」はジャケットや同梱のカードには描かれていて、それはそれで良い絵なのですが、言葉としての「宇宙戦艦」はほとんど出てきません。だから「交響曲ヤマト2009」であって、「交響曲宇宙戦艦ヤマト2009」ではありません。
その代わり、宮川、羽田、大友といった作曲家の名前はぽろぽろと出ています。
つまり、まさに「宇宙戦艦抜きのヤマト音楽」です。これは「ヤマトの音楽」ではなくそれ以前に「宮川さんの音楽」であり「羽田さんの音楽」であり「大友さんの音楽」であり「横山さんの音楽」であり「大谷さんの音楽」であり「日本フィルの音楽」です。
そして、やはりこれが西崎流のプロデュースなのでしょうが、あらためて謝辞を書くことを求めないあたりが、西崎さんも変わったということでしょう。
作品のオマケではない音楽とは §
アニメの音楽への取り組みは2種類あります。
- 再放送があるまで見られないアニメを思い描くために聴く
- 音楽そのものを聴く
前者は実質的に滅んだと思います。録画したりDVDを買えば再放送まで待たなくて良いからです。なに? アニメはネットで落とす? ほとんど犯罪でしょ?
しかし、前者のマーケットが縮小した結果なのか、後者も本当にやりにくい時代になりました。以前、あるアニメのサントラCDを探したところ、発売されていないという事実を知って愕然としたりしました。そういうケースもあります。
そういうわけで、OSTがあればラッキー。
まして、こういうCDがあるのは幸せなことですよ。
そこで主役になるのはもちろん、音楽家達であって、アニメは脇役に引っ込むべきです。だから、「買うまでは聴けずに見る」ジャケットがヤマトであることは客をエサに食いつかせるために良いと思います。しかし、聴きながら読むライナーノートでまで宇宙戦艦ヤマトを褒めるべき理由はありません。客はもう金を払った後なので。だから、大友さんが褒めるのは宮川さんや羽田さんです。
それでいいわけですね。それこそが、アニメ「音楽」が進むべき道でしょう。それが作品のオマケではない音楽というものですし、交響組曲宇宙戦艦ヤマトの最後の曲(スターシア)が示した可能性であるはずです。