実は、重大なことに気づきました。
「さらば」のコスモタイガー飛来シーンの名乗りがばらけているのです。
映画ではこうなります。
ところが、ひおあきら版を読んでいると違います。
カツマタ!? 根本や杉山以上に耳慣れない名前だぞ!
しかし、ロードショー責任編集のムック(映画公開当時に買ったものだ)のAR台本を見てびっくり。
鶴見すら出てきません。映画では台詞があるのに、AR台本にもいないとはどういうこと?
ひおあきら版を評価する §
実は、ひおあきら版にはアンドロメダを見送った後の「ばっきゃろー」の台詞が無いと思っていましたが、吹き出しに写植されていないだけで書き文字としてありました。つまり、かなり初期構想に対して忠実度は高いと考えて良いと思います。
ということは、カツマタもひおあきらの独創ではなく、もともと構想上映画に存在したキャラと考えられます。
すると、鶴見の扱いも問題になります。
どうも、このシーンで何人出すかは最後まで揺れていて、確定しなかったようです。確かに、4人のパイロットを限られた時間で出すのは分かりにくくなるので、減らそうと言う機運は分かりますが。
AR台本とは何か §
とすれば、ロードショー責任編集のムックに掲載されたAR台本が作成された時点で、ツルミ、カツマタの登場はカットされていたことになり、その後にツルミだけ復活したことになります。
もちろん、AR台本が実際のフィルムと食い違っていることは当然ですが、これまで「シーンのカット」が主であると思っていました。まさか、AR台本に無いカットがある、という考えには至りませんでした。
個人的にはびっくりだ!
綺麗なオフィシャル設定を押し通す後年の作品にはない面白さです。
ひおあきら版のその他のメモ §
- 斉藤の文字が違う (斎藤ではなく斉藤になっている。少なくともコンビニ版では)
- 内火艇格納庫(甲板下の隙間の部分)にも入っていくコスモタイガー (艦底部からも入っている)
- しかしコスモタイガーではなくブラックタイガーと呼んでいる。隊の名称か?
- コンバットA体勢という言葉は見られる。これは早期に確定したらしい (第1位シリーズでコンバットB体勢と言ってしまった関係上か?)
ひょっとして新撰組関係か? §
調べたところ、鶴見二郎に似た鶴岡鎌四郎という人がいたようです。名前に「鶴」と「郎」と漢数字が入っているという意味で似ています。また三分隊所属のようなので、月面第3航空隊という名乗りにも数字が付合します。また、カツマタに似た名前は見つかりませんでしたが、「甲州勝沼の戦い」を連想させます。
まとめると §
おそらくこのシーンをどうするかは最後まで揺れが大きく、AR台本から変化は少ない「さらば」ですが、このシーンは「カット」だけではく「追加」もされたようです。おそらく、時系列は以下の通りです。
- ツルミとカツマタが出ると決める (コスモタイガーのデザインはほぼ決まっているが名称は未定)
- 「ひおあきら」氏へ渡る資料が作成される
- ツルミとカツマタが出ないと決める。コスモタイガーという名称も確定
- AR台本作成へ
- ツルミとカツマタが1つになって復活し、鶴見二郎となる (少なくとも鶴見のアフレコはこれ以後である。その前に他のアフレコが進んでいた可能性もある) (AR台本に鶴見が登場する別バージョンがあるか、それとも現場で口頭の指示を出して修正が入っただけなのかは不詳)
- 映画公開・鶴見二郎登場
感想 §
「あったぞ、古代さん、あれだ! うわー!」
(こんな台詞を記憶だけで書くのもどうかと思うが)
根本と杉山でいくらでも語れればヤマトファンとして過剰な泥沼と思いましたが、どうやら鶴見だけでも延々と語れそう。まあ、本来は山本を語るだけでも過剰な泥沼だったはずですが。「さらば」で準主役級として復活しなければ、1回限りのパイロットとして消えていたはずだし。