2009年12月30日
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ミルの存在は「さらば」の解釈をひっくり返すか?

Written By: トーノZERO連絡先

ミルと言えば §

 「女だな、サーベラー」と言ったら「オカマだな、ミル」と続けるのは当たり前のギャグではないかもしれません。(「ズォーダー大帝の名台詞は「女だな、サーベラー」……と思ったのだが……」で述べた通り「女だな、サーベラー」が当たり前でないとしたら)

ミルと言えば評価が変わった §

 ミルは面白いキャラです。

  1. オカマっぽくて気持ち地悪い奴 (森雪も撃ったし)
  2. ヤマト2になって急に男らしくなったけど、その凛々しさが不信感
  3. PSのゲーム版で逆に女らしくなって、けっこういいぞ

 つまり評価が二転三転しています。これには周囲の評価と、実際に見る私の視線の変化があり得ます。

 そうなると、新しい評価も可能です。

監視艦隊司令とは何か? §

 監視艦隊司令とは「ソ連にもあった肩書き」だそうな。

 ということは、アメリカを模した独裁国家に登場するのはおかしいことになります。

 つまり、都市帝国のモデルがアメリカらしいことまでは肯定できても、白色彗星帝国そのものまで「アメリカを模した独裁国家」とは言えなくなってきます。

 そもそも、独裁国家であればアメリカよりもナチスドイツにこそモデルとして相応しい訳です。

 従って、以下のことが言えます。

  • 白色彗星帝国のモデルの一部はアメリカではなくソ連かも知れない
  • 白色彗星帝国は独裁国家ではないかもしれない

超巨大戦艦とは何か? §

 ズォーダー大帝は形式上の帝王であり、対外的には偉そうに振る舞います。しかし、一種の傀儡であるかも知れません。それを示唆するのがミルです。ミルの派遣を大帝は好意的に思っていませんが、拒否権は発動していません。下品というだけで地下に落とすデスラーとは大違いです。

 しかし、ヤマト2で超巨大戦艦にサーベラーを乗せない、という独自性の発露も見せています。

 従来、これは帝王から自分を騙したサーベラーへの懲罰であると考えていました。

 ですが、もっと別の解釈もできることに気づきました。

  • 白色彗星帝国は独裁国家ではなく、有力者の合議で動く国家である
  • ズォーダーの使命は、合議の結果を我が身を持って示すことである。つまり傀儡である
  • 実際の白色彗星帝国は、有力者の所有物の集合体である
  • 建前上はともかく、実際のことろミルはサーベラーの配下であり、大帝は直接何も言えない
  • 白色彗星と都市帝国は合議の上で成立したものであり、大帝の一存では停止や進路変更ぐらいしかできない
  • 超巨大戦艦は大帝の私物であり、他の有力者を乗せる、乗せないを含めて自由にできた

 この仮説の良いところは、ヤマト2で「あれほど好き勝手にやられたサーベラーらに制裁を下すタイミングが遅すぎる」理由を説明できることにあります。いくら大帝が怒ったところで、それは馬耳東風。致命的な「罪」は、共有財産である都市帝国に損害が及んだ時点で確定し、サーベラーには超巨大戦艦に乗る権利は無いことになります。

 ただし、これはヤマト2を援用しているという点で、さらばとヤマト2の白色彗星帝国は同じであるという前提によります。

 更に言えば、さらばの最後で過剰に高圧的に振る舞うズォーダーの理由も分かります。それは、弱さの裏返しです。絶対服従の要求とは、異論を受け入れる度量がないほど追い込まれていることを意味します。そして、追い込んだのはおそらく自称側近達です。

 ちなみに、バルゼーに「どけ」というのも同じ理由です。最初から白色彗星で蹴散らせば良いのに、バルゼーに「おまえの艦隊は要らないよ」と言えないのは傀儡の大帝として彼の立場を犯せないからでしょう。バルゼーが負けた後で、やっと言えるわけです。

 そのように解釈すれば、ズォーダーが飢えていたのは支配すべき異民族ではなく、愛であったとも言えます。

 とすれば、「愛の戦士達」のラストは、愛を失った男と、愛に飢えた男が激突することになり、映画として「愛」というテーマで一貫します。

ならば §

 互いに酒を飲んでたはずの2人は、古代とデスラーではなく、古代とズォーダーだった可能性もあり得ます。酔っぱらって一緒に飲んでいるズォーダーに「それは違う!」と古代が言っても良かった場面です。(ならばラストシーンは決闘ではなく、ヨッパライの喧嘩だ)

 とすれば、白色彗星帝国とは崩壊に瀕した賞味期限の切れた帝国であり、古代とデスラーが真上と真下から突いたら勝手に崩壊してしまっただけ、とも言えます。ちなみに、真下が艦載機発進口で、真上が組織のトップとなる大帝本人ね。

 更に言えば、命を捨てて特攻する気があったのは実は大帝本人かもしれません。超巨大戦艦を捨てて逃げれば、ズォーダーにも生き延びるチャンスがあったはずです。テレサの反物質の身体は1つしか無いので、超巨大戦艦1隻を仕留められるだけ。残りはもはや戦力ではないヤマトだけ。実は、超巨大戦艦に乗った時点で、ズォーダーは死ぬ気になっていたのかも。

 確かに、敵が満身創痍のヤマトだと思えば勝者として振る舞う可能性もありますが、おそらくズォーダーの敵はテレサです。テレサに勝つには白色彗星が必要であり、超巨大戦艦では不足だと思えば、もはやズォーダーには絶望しか残りません。

オマケ・宇宙戦艦ムサシ (大嘘バージョン) §

宇宙戦艦ムサシ「このミルはよく育ってるわよ」

宇宙戦艦ニャース「ゲットして大帝に差し出すのにゃ」

宇宙戦艦コジロー「すると、どうなるんだ?」

宇宙戦艦ニャース「目覚めの朝に、大帝はミルのミルクで目覚めるのにゃ。うーん、美味い! こんなステキなミルをプレゼントしてくれたニャース達には何か褒美を取らせねば、と思うのにゃ」

宇宙戦艦ムサシ「スピード出世でいい感じ!」

宇宙戦艦コジロー「って、それはミルじゃない! ミルタンクだ!」

 ちなみに、宇宙戦艦ムサシという小説はヤマトブームの頃に実在しましたが(読んだぞ)、本件とは何も関係がありません。

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