2010年03月25日
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べらべら死んでからも能弁に喋り続けるスターシャのルーツはどこにあるのか?

Written By: トーノZERO連絡先

 新たなる旅立ちのスターシャは、死んでからいろいろ長々と能弁に語ります。

 これまで、これは「新たなる旅立ち」ならでは特徴だと思っていました。(その特徴はある程度2代目サーシャに引き継がれるのだが)

 ところが、よく考えるとそうではないことに気付きました。

 つまり、スターシャが死ぬ展開が描かれるのはアニメに限ってもこれが最初ではなく、その際もやはり能弁に語っています。

 つまり、幻の最初の劇場版です。

 この時点ですでに「死んだ後で能弁に語るスターシャ」が描かれています。

 もちろん、機械装置に録画された映像を再生しているだけ、という解釈で見ることもできるわけですが。そういう機械装置の側面を取っ払って解釈すれば、構造的に同じです。

 ということは、おそらく一部のスタッフの心中には以下のような解釈があったことが推測されます。

  • スターシャの本質は語る幻影である
  • 目標として夢見ることはあっても、生身の現実たりえない
  • 放射能除去装置という機械としての現実はあっても良いが、スターシャは現実ではなく幻影である

 つまり、こう解釈できます。

  • ヤマトの本質は自助努力である (助けてくれるスターシャは実在しない)
  • 具体的な物理的援助はハーロックつまり守を通してのみ行われる
  • スターシャは幻影であり、手出しはしない/できない

 しかし、放送の短縮に従い、ハーロックの出番がなくなり、異次元空洞でスターシャは実在の人物として援助を行わねばなりません。(ここは本来ならハーロックが助けに入る場所と思われる)。更には、ハーロックの出番が無くなった関係上、スターシャを相手とするラブロマンスが描かれてしまいます。

 従って、上記のようなヤマト解釈を肯定するなら、この2つは除去されねばなりません。異次元空洞のシーンは、劇場版ではもともと入っていません。そして、イスカンダルの映像を「スターシャは死んでいた」編で置き換えることで、「生身のスターシャ」の除去が完了します。

 しかし、どういう理由か守とのラブロマンスは復活します。

 その結果、「新たなる旅立ち」は「スターシャを生身から幻影に戻す」作品として構成さねばなりません。幻影に戻すという行為を強調するには、夫や娘という生身と直結した存在を強く示すと同時に、死んでもなお語る存在であることを示し続ける必要があります。

 とすれば、「新たなる旅立ち」はまさに条件を満たします。

実在しない女神と実在する女神 §

 とすれば、ヤマトIIIのマザー・シャルバートから完結編のクィーン・オブ・アクエリアスに至る「死んでいる女神」の流れは、想定されたスターシャの正当な後継者であると言えるのかも。

 (それとは別に、初代サーシャ、2代目サーシャ、ルダ王女と続く生身の妹・娘系キャラの流れも想定できる)

 ちなみに、完結編は妹・娘系キャラの役目をディンギルの少年が担っていたと思えばそうなります。

 問題は「さらば」~「2」ですが、さらばの触れないテレサが実質的に「実在しない女神」にあたり、2の触れるテレサが妹・娘系キャラの役目を担っていたと思えば2つの流れの中で迷っていたことが見て取れます。

ああっ。ちょっとまて §

 そうすると、実は「復活編」もこのパターンに当てはまるぞ!

 最初に行方不明になってそれっきり生身として登場しない森雪こそが「実在しない女神」であり、娘の美雪こそがまさに「生身の妹・娘系キャラ」なのだ。この場合、アマールの女王よりも、雪の方が意外にも当てはまるぞ。

オマケ §

「で、これも古い原稿なんだけど」

「他に敵の女系キャラも想定できるね」

「サーベラーとかサーダだね」

「デスラーにはべっていた美女も含めていいのかも」

「でも、これはあまり典型的ではないかも」

「明確な共通項もあまり見いだせないし、必ず出てくるわけでもない」

「やはり問題は、ディンギルの少年もヒロインに含まれるかどうかだ」

「爆丸でも、やはりマルチョが可愛いのでございますよ」

「可愛い男の子は1つの流れなのかね」

「女はむしろ戦う根拠をもらって、可愛いキャラは男の子」

「えって思うけど、意外とそうなのかもね」

「だって、映画のシャーロック・ホームズ見てもさ。ヒロインは悪女で、服を脱がされてベッドに縛られるのは男の役目だものね」

「まあ、可愛い男の子ではないけれど」

「それに、一応冒頭は生け贄の美女を助けに行くわけだし」

「そういう意味で、微妙な線上にあると言えるのかもね」

「でも、面白いからいいじゃないか」

「犬は出てくるけどハドソン婦人ではなかったからよしとしよう」

「それより問題はヤマトだ」

「うん、ヤマトだね」

「ヒロインに2系統あるとして、やはり幻影のヒロインをどう解釈したらいいのかな」

「理想は常に幻だってことかもね」

「やはり幻か」

「それでもいいさ。理想を追い求める旅そのものが理想だとすればね」

「たどり着ける本物の目標よりも、たどり着けない幻影の方が良いか」

「結局、ヤマトはそこから始まり、そこに終わるのだろう」

「そう思うと、完結編のラストで襲ってくる水は美女の洪水」

「最後にヤマトが屹立して水面に出てくるのは、ヤマトの勃起」

「でも、長くは続かない」

「爆発して果てるのが男のサガだ」

「って、何の話?」

「ヤマトの話だ」

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