世界的な流れが以下の2つだとします。
- 戦うヒロイン
- 戦える根拠となる理由付けが重要 (ただの可愛く幼いアニメ美少女が戦うのではなく)
ヤマトシリーズのヒロインは伝統的に戦いません。せいぜい、雪がレジスタンスで戦ったりするぐらいです。しかし、一般市民まで銃を取るのがレジスタンスなら、雪が銃を取ることに理由は必要ありません。誰もが銃を取るからです。
これに対して、ヤマト復活編では異なる様相を呈します。
- 女医が戦闘機に乗る
- 性格的にさばけた好戦的な人物である
実はこれによって2つの理由付けを満たしていて、ある意味で世界水準であると言えます。とはいえ、古代の娘や折原真帆はやはり戦わないし、雪も戦うヒロインではありません。
そういう意味で片足は突っ込んでいるが、もう片方の足は入っていないとも言えます。
ここで、入っていない片足の方は「昔ながらのヤマトらしさ」ゆえでしょう。しかし入っているもう1方の足の方は、ヤマト復活編がノスタルジーだけの作品ではない、という意思表明であるとも言えます。
あるいは、古代の娘が昔ならヤマトに乗っていたはずだと思うなら、「戦える根拠を持たない娘」を乗せて行かないヤマトに、「今らしさ」があるのかも。(かつてスターシャの娘はヤマトに乗っていたのだ)
オマケ §
「という文章を書いてからかなり時間が経った気がする」
「確かに、ある種の特異性があると思うよ。事前に漠然と期待した美雪のポジションはサーシャ(2代目)のような感じで、おっぱいレーダー担当だもの」
「そうだね。やはり雪の娘だから、立派な宇宙戦士だろうと思うと肩すかしを食う」
「可愛い女の子はそれだけでは戦う根拠があるとは言えないのだろう」
「もちろん、理屈でいくらでもコンピュータが得意といった後付の理由は付けられると思うが、それは映画では通用しない」
「分厚い設定書を観客が把握して見てくれるわけではないからね」
「ぶらっと来て、見ていくだけの客は詳しい設定など分かっていないし分かる気もない」
「だから、ヤマトに乗っている女性は、優秀だが冷たい感じの女性オペレーターや、医務室を放り出して戦闘機に乗ってしまうさばけた女医という、ビジュアル的にも分かりやすい女性達になっている」
「実は人間じゃないので戦えるとか、実は魔法で変身するとか、そういう小難しい設定はとりあえず無いわけだね」
「そうだ。そういう設定は無い。ただ、SUSが実は……という話の骨格に関わる謎があるだけだ」
「問題は、それでいいのか、ということだけど」
「いいと思うよ。だって、それで困る人は誰もいないじゃないか」
「設定丸暗記を自慢したい子供が困るよ」
「そういうお子様はガ○ダムでも見て、別にヤマトを見ないから、困らないだろう」
「はははは」
「見に来るヤマトファンだって、設定の大半をすっかり忘れた中年だろうしね。分かりやすくて困ることは無いだろう」
「そうだね。こっちもかなり忘れている」
「言えなくなった台詞も多いしね」
「すっかり忘れちゃってる」
「でもいいのだ」
「なぜ?」
「ヤマトは理屈で見るものじゃないからね。魂で見たらいいのさ」