2010年07月04日
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ドボク系の始祖としての映画パトレイバー2

Written By: 川俣 晶連絡先

 そういえば、パトレイバー2のDVDがあったな、というわけでうっかり再生したところ最後まで見てしまいました。買ったばかりのノートPCのSpureEngineに負荷を掛けるには、BD再生か、DVDをアップコンバートさせるしかなかったので。

 そして、愕然として開いた口が塞がりませんでした。

分かる §

 この映画は映画館でも見てますが、今一度見ると「ああ、そこだ」と分かる箇所が大幅に増えています。それだけ昔は出不精だが、それ以後にかなり出歩いているということでしょう。たとえば刑事が潜入する福生付近といえば、すぐに「あのへん」とイメージできます。箱根ヶ崎まで八高線で行ったこともあるし、横田基地が近いというロケーションも良く分かります。

ドボク系の始祖として §

 実は、ロボット、自衛隊、警察を差し引くとほとんどドボク系そのものという描写しか残りません。昔は、高速道路の下の水路というぐらいしか意識していませんでしたが、他にも、山のようにそういう要素が詰め込まれています。詳しく描き込まれた下から見た高速道路、橋脚、地下鉄、幻の新橋駅、埋め立て地、海から見た工場の光景、橋、ビル、等々。そして、鳥もそうでしょう。なぜなら、ドボク系のイベントで話したことがあるさる人の趣味は鳩の観察であり、完全に隣接領域に位置します。水路趣味とも重なるでしょう。いきなり高速道路の下の水路というわけではなく、そこに至る経路まで詳しく描かれています。

であるから §

 であるから、問題は架空の存在であるロボットや、非日常の存在である自衛隊や警察を差し引いてしまうと現実そのものしか残らず、最終的に現実を相手に歩き回る趣味そのものになってしまいます。その課程で感じる様々な思いが極限に達すると、むしろ「現実を知らない者達に力尽くでも現実を気づかせたい」という思いにつながり、柘植の犯行にも感情移入できるわけでしょう。しかし、実際に「何ができるのか」といえばさほどのことはできないわけで、いわばフィクションによるストレス解消ですね。

 その段階まで至ると、もうロボットも不要物であるし、自衛隊も警察もさほどの意味を持ちません。

 ちなみに、押井守監修の「東京静脈」という実写映像があり、ドボク系教祖の大山顕さんがこの映像にショックを受けて始めたのがドボク系であるというようなことを書いていましたが、要するにパトレイバーの延長線上にある水路と橋の映像……のようなものです。実は私も同じ映像を同じ頃、同じ六本木ヒルズで見てますが、そういうことです。

 まあ、原点が同じなら驚くほど話が通じるのも当然なのかな。

 でも、実際はパトレイバーを意識して歩いているわけではないが、結果として接点が多くなってしまった感じなのでしょう。

余談 §

 映画館に通うようになって良く分かるようになってきました。これは映画としてよくできています。つまり、「映画館通いで培った映画の常識」を当てはめても、非常に楽しめます。

 もう1つ、音楽がすばらしいですね。うん、これは良かった。

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