いい加減に書き飛ばすぞ。信じてはダメだぞ。
海軍の2つのあり方 §
海上戦闘のやり方には大きく分けて2種類あります。
- 決戦主義・主力艦隊をぶつけ合って勝った方が戦争の勝者
- 通商破壊戦・輸送船団を潜水艦等で執拗に狙って物資を敵国に行かせず参ったと言わせる
おおざっぱに言えば、最も理想的な決戦主義が日露戦争の日本海海戦。通商破壊戦がイギリスとドイツがやっていた海上戦争です。そして、真珠湾攻撃で主力艦を沈められたアメリカが採用したのも通商破壊戦です。
通商破壊戦とは何か §
以下の2条件が満たされているときに有効な手段です。
- 主力艦が不足して決戦ができない場合
- 敵が島国で自足自給できない
従って、主力艦不足のまま開戦したドイツや、真珠湾で主力艦を沈められたアメリカが採用するのは順当です。
この場合、通商破壊戦を採用した敵に対抗するために必要とされるのは、主力艦よりも対潜用の小型艦艇です。駆逐艦やフリゲート艦です。
ヤマト世界に当てはめる §
この考え方を「さらば」時代のヤマト世界に当てはめると、以下のようになります。
- ガミラスの残党は、主力艦が不足して決戦を仕掛けられない
- 地球は、各惑星の資源に依存した一種の島国である
つまり、ガミラスの残党が選択できるのは通商破壊戦しかありません。(白色彗星帝国の支援を受けたデスラーになると少し話は変わってくるのだが)
従って、それと向き合う地球側が必要としているのも、「輸送船団を護衛する小型艦艇」ということになります。
そこで描写にリアリティ §
だから、古代がパトロール艦というヤマトに比べれば小さく貧弱な艦に乗って船団護衛をしている描写に説得力があるわけです。波動砲装備の戦艦だけでも全世界に数十隻あるというのに、ヤマトの偉大な功労者がパトロール艦を指揮しているというのは、実はこの状況での本当の主役が戦艦ではなくパトロール艦にあることを示します。それはそれで正しいわけです。戦艦は復興の象徴で飾りのようなものだったのでしょう。
しかし決戦は起こった §
しかし、そこに想定外の白色彗星帝国が来たことで番狂わせが起こります。復興の象徴として飾りのような存在であった戦艦部隊が出撃せざるを得ない状況に陥ります。最初は景気よく進撃できるのは実は潜宙艦が潜む場所におびき寄せるため。しかし、「潜宙艦だ。ソナーを上げよ」という命令一発で突破されてしまうのは、むしろ地球艦隊がそれを重視する「通称破壊戦対応型」の組織であるとすれば当然。しかし、「通称破壊戦対応型」の組織は潜宙艦を見破って対処できても、決戦には不向きです。有利なのはそのあとの旗艦単艦の波動砲発射による先制攻撃まで。大規模集団戦闘には不向きの組織だから、幼稚なマルチ隊形を取って白色彗星に蹴散らされてしまいます。
考察 §
つまり「さらば」の地球艦隊には以下の矛盾があります。
- さらばの地球艦隊は決戦主義ではないが、決戦主義で使われた矛盾
そして、もちろん矛盾は敗北に直結しました。
まとめ §
地球艦隊は対ガミラス戦に特化しすぎた組織を作ってしまい、そこから方針を変更できないまま負けてしまったのだと言えます。つまり、以下のような問題があります。
- 情報の鮮度が低い (テレサからの通信を本気で調査していれば、これほど唐突ではなかった)
- いざというとき、変化ができない硬直性
一方で、テレサの通信を重視した古代らは、反乱しても調査に行くという柔軟性を見せます。
オマケ §
「さらばが好きだね」
「そうだよ、だから歌っちゃうよ、さらば地球よ♪」
「それ、さらばだけどさらばじゃない」