「カラフルの前に上映してた実写ヤマトの宣伝が新バージョンだった」
「それで?」
「うろ覚えだけどさ。元パイロットのあんたがどうしてヤマトに来ると森雪に糾弾される古代とか。日本最後の宇宙戦艦がヤマトだとか。あと地下都市のイメージがかなり松本ヤマトっぽくない」
「それは大胆だね」
「うん。ヤマトのデザインはかなり似せてあるけど、地下都市はまるで別物だと思っていいと思う」
「登場人物もまるで別物という感じだね」
「ということはアレだね」
「は?」
「新たな顔と、新たな決意、新たなヤマトがいま旅立つ♪」
「ははは。そうだな。それでこそヤマトだ」
本題 §
「やっと本題に入ろう」
「うん」
「実写版はイスカンダルからのカプセルが地球に落ちてくるらしい」
「火星じゃないんだね」
「それをジャンクあさりの古代が発見するらしい」
「訓練生じゃないんだね」
「実は、この設定の変更は意味があると気づいた」
「というと?」
「アニメの映画版でのけぞったのは、昔書いたと思うけど、もっと台詞があると思ったのに島が行こうというと、すぐひゅーんと飛んでいく、行こうひゅーん問題があるからだ」
「キャラを掘り下げる時間的なゆとりがないね」
「結局、古代と島が火星で特別訓練を受けていて、偶然火星にサーシャが落ちてきたという設定そのものが複雑すぎたんだ。テレビシリーズならそれでもいいかもしれないけどさ。映画のサイズではやはり厳しい」
「そうか。この序盤の展開は難しいのか」
「あと、サーシャが来るぐらいなら放射能除去装置の現物を持ってくればいいという話もあるけどさ。いきなり通信カプセルだけ落ちてくるならそれも関係なくなるかもしれない」
「サーシャ出ないの?」
「詳しいことは知らないけどな」
「でもアニメだとサーシャを出さないわけにはいかないね」
「テレビシリーズの再編集である限り、どうしてもサーシャが必要だ」
「しかし、新規に作るならその縛りが外れるわけだね」
「だから映画にするなら整理した方が良い点を整理したのだとも考えられる。より良いヤマトのためにね」
「そうすると、意外と実写版はヤマトを分かってるのかな?」
「そこは見るまで分からん。でも希望はありそうだ」
「その希望に賭けるの?」
「たとえ、万に1つであろうと、それに賭ける。それが男だ」
「で、本当にそんなに小さな希望?」
「いやそうでもない。アイドル声優主役で初音ミクとかとコラボしないで、キムタク主役でキティちゃんとコラボという時点で、『オタクは客じゃないよ、あっち行け』という態度が見え見えなのが良いところだ。まずここで、最初に良い第一歩を踏み出している」
「それは、それほど大事なところ?」
「うっ。そう言われるとそれほど大事じゃないかもしれない」
「じゃあ何が大事なんだろう」
「そうだな。たとえば監督の代表作の三丁目の夕日でいうと、やはり151系こだまが見せ場というのはあると思うけど、実は主役メカじゃない」
「え?」
「確かに151系も出てくるけどさ。映画としてはまず集団就職で東京に出てきて、夢破れるところから始まる。もちろん、乗っているのは151系じゃない。東京駅で降りて待っていたのは凄い高価な乗用車じゃなくて、しょぼい小さな車でしかないんだ。ここで夢が壊れる。待っていた相手もやはり夢が壊れる」
「なるほど」
「キムタクだってさ。ハウルの動く城で演技したときは夢が壊れている。いきなり、髪の毛の色が変わってねばねばを吹き出してソフィーを家出させてしまう。ああいう、美形が髪を染めている的な描写は本当なら舞台裏なんだけど、それを見せちゃって、なおかつそれを演技で見せられるのがキムタムだ」
「そこは重要なポイントだね」
「うん。重要だ。人気美形アイドルという線を既に踏み越えている」
「じゃあ、SPACE BATTLESHIP ヤマト。期待していいの?」
「さあ。それは分からんぞ。ヤマトが向かう先に何があるのか、行ってみなくちゃワカランのよ」
「分かりました。佐渡先生」
「いや、おいらだって」
オマケ §
「新しい映画の宣伝を見ていて、同い年のキティちゃんとコラボと言っていた」
「それで?」
「なにを、こっちは監督と同い年だぞ、と思った」
「キティちゃんに対抗せんでいい」
「ところで、キティって台風の名前だろ?」
「なんちゅうロートル」