「ヤマトとガ○ダムは何が違うのかようやく見えてきた」
「巨大ロボットの有無ということ?」
「いやそうじゃない。お前はバカだと怒る大人の有無だ」
「え?」
「ヤマトの艦長は?」
「沖田十三、52歳」
「ホワイトベースの艦長は?」
「ブライト何歳だっけ、かなり若いよね」
「十代だろう」
「その差は大きいの?」
「うん。殴られずに大人になった奴がいるかと殴ってもさ、その年代では本人もまだ大人とは言えない。口先だけで説得力がない」
「せいぜい頭が上がらない兄貴だね」
「しかもシステム的に良くないのは、ビームライフルの発射権限をブライトは持ってないのだ」
「古代は沖田の命令なしで、ショックカノンを撃てないけど、アムロは敵がいれば撃ちまくるということだね」
「しかも部下と仲間の有無も違う」
「というと?」
「古代がショックカノンを撃つためには、多くのスタッフの努力が背景にある。でも、アムロは1人でガ○ダムに乗って1人で撃つんだ」
「そうか。古代は多くの人に助けられてやっとショックカノンを撃てるけど、アムロは1人で撃ててしまうのか」
「ブライトなんて口先でいろいろ言うだけで、実際は何も出来ないへっぽこだと思うと、それで世界観を押し通せてしまうのがガ○ダム。しかし、沖田がいないと古代だけでは航海を終わらせることができなかったのがヤマトだ」
「なるほど」
「だから、本当はロボットの有無はどうでも良かったと言えると同時に、やはりロボットの有無は重要だったと言える」
「というと?」
「ロボットとは逃げ込める個室だからだ」
「コスモゼロは個室じゃないの?」
「ブラックタイガーが付いてきてしまうし、外から見えるコクピットなので、完全なプライバシーは保てない」
「そうか。敵が来たらいつも乗れるわけでもないしね」
「強引に雪も乗ってくることがあるしね」
「確かに。複座仕様にもできる」
「結局、古代は沖田の後任を目指したけど、アムロはブライトを目指してないんだよ。最後まで指揮官はブライト。最後まで逃げ込める個室を持ったパイロットであろうとした」
「それは大きな象徴的な差だね」
「アムロの影(兄貴)がシャアだとすると、古代の影(兄貴)は真田。シャアやアムロは逆シャアで他人の子供の父親にはなれないと言ったが、真田はサーシャという他人の父親をやったんだ」
「そうか。血は繋がっていないけど、実質的に古代と沖田は親子みたいなものだしね」
「そういう泥臭い人間関係でやっと艦内がまとまって動けるのがヤマトなら、そういう人間関係を拒否して個室にこもるのがガ○ダムとも言える」
「そうか、逆に言えば個室にプルという他人を入れられるジュドーの人間的な大きさがやはり残るわけだね」
「ZZだけが異質なのはそういう理由かもしれないね」
「そうか。だから個室としての強いロボットが不可避なのか」
「ヤマトに個室としてのロボットがないことの理由にもなっている」
「ならば、個室としての機能性がないなら、ロボットがあっても良いという話にならない?」
「なる。たとえば、人が乗らないで意識がある勇者シリーズとかトランスフォーマーシリーズは、やはり持ち味が違う。思い悩むロボ達のジェイデッカーや、子供が常に補助的な任務に割り当てられる超神マスターフォースとかね」
「合体ロボットは?」
「合体すると仲間の存在感がほとんど消えてしまい、1人で動かしているようなタイプは結局個室だ」
「じゃ、ロボットアニメも条件付きで肯定する?」
「肯定はしない」
「なぜ?」
「結局ロボットはドラマ作りに必須ではないからだ」
オマケ §
「1つ謎が解けた」
「というと?」
「スペースサジタリウスのCDに、兄弟のどこが悪いんだという歌がある」
「うん」
「でも、どう考えても義兄弟の歌なんだよ。時代の流行ではないが、それのどこが悪いんだという歌なんだ」
「それで?」
「つまりさ。他人であっても家族のように付き合う行為を否定する個室時代を嘆く歌なんだよ」
「ええっ?」
「だから、ガ○ダム的な個室世界が、対極にあるわけだ」
「なるほど」
「というわけで、結論が出たな。肉はなくてもラザニアは最高の味!」
「ヤマトはどこにいった?」
「古代を弟のように思っていた真田がいる時点で、結局同じ世界なんだよ」
「なるほど」
「ああ、そうか。だから、強いて言えばこれがヤマトの後継者なんだよ」
「サジタリウスが?」
「ヒーローロボットも出てこないし。スペースオペラの主役になれない。危機一髪も救えない。ご期待通りに現れない。テーマは愛する家族であって、やはり愛だし」
「愛か」
「愛だよ。いきなり愛する奥さんが出産する話から始まるんだ」
「そして、愛らしい子供が生まれるわけだね」
「フラウと上手く行かず、セイラと上手く行かず、マチルダと上手く行かず、ララァと上手く行かず、ベルトーチカと上手く行かず、チェーン・アギとはさほど関係が深まる前に死んでしまったアムロとは偉い違いだ」
「なんか濃厚な女性との肉体関係はあったようだけどね」
「濃厚な女性との肉体関係というのは、ここでいう関係が深まるには当てはまらない。その前段階に過ぎない。子供や奥さんの家族に振り回される段階になって、始めて深い関係になったと言えるのだよ」
「娘からダメパパと糾弾されたりね」