2010年09月02日
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宇宙戦艦ヤマトとスタジオぬえ害悪論

Written By: トーノZERO連絡先

「スタジオぬえ害悪論とはショッキングな見出しだねえ」

「まあ、人目を引くための見出しだね」

「ええ? 嫌いじゃないの?」

「ゼロテスターが大好きだったおいらがそれは無い無い」

「そういばヤマトやアルカディア号も」

「うん。ぬえの手が入っている。ヤマトの有名な宮武三面図も、ぬえの宮武さんの仕事だ」

「コンVもぬえだね」

「そうだ」

「じゃあ、まるっきりの嘘というわけ?」

「ここでの話はそうでもない」

「というと?」

「昔、ぬえがSFマガジンで連載していた宇宙戦艦の話。検索してもはっきりしなかったけど、スターシップライブラリって奴なのかな。ともかくその連載を思い出して、問題にしてみようと思ったわけだ」

「どういう連載」

「みんなが思っている宇宙戦艦ってこういうものでしょ? でも本当は……とハードな話が続く内容だったと記憶する」

「それがどう悪いの?」

「ヤマトの後継者を殺してしまった効能があるかもしれない」

「もっと具体的に頼むよ」

「この連載は、みんなが宇宙戦艦だと思っているデザインへのダメ出しを行っている。だから、ヤマトもアルカディアもダメということになる」

「うん」

「しかし、この方法論は致命的にダメなんだ」

「というと?」

「客はいちいち詳しい設定を理解して映像作品を見るわけではない。チャンネルが合ったから見てるだけとか、ぶらっと映画館に来て上映しているから見ただけ、ということもある」

「そうか。その場合、嘘でもみんなが宇宙戦艦だと思っているデザインを使わないと、そもそもそれが宇宙戦艦だと理解されないわけだね?」

「そうだ。だから、こだわりが一線を越えると浮いてしまうのだ」

「なるほど」

「だからさ。ぬえが分かる僕というファッションが存在し、それがけっこう幅広く支持される時代にあっては、宇宙戦艦を宇宙戦艦らしくデザインすることがかっこうわるくなってしまう。しかし、彼らがかっこういいと思うデザインは通らない」

「なるほど。それなら最初からみんな諦めているロボットでもやった方がマシということになるね」

「ロボットなら最初からデタラメだからね」

「本当はもっと凄いのをやりたいんですが、実際はロボットですわ、と頭をかけるわけだね」

「でも、本当はそうじゃない。マジンガーZだって、あれは神にも悪魔にもなれる力の象徴であり、機械としてのリアリティは実はどうでも良かったのだ」

「なるほど。ヤマトも同じだね」

「そうだ。ヤマトが空を飛んでも、そこにメカニズムとしてのリアリティは本質的に要らない」

「でも、どうして、ぬえはメカニズムのリアリティという方法論を選んだのだろう。どうしてファンに支持されたのだろう」

「今なら何となく分かるな。結局、独自性を発揮できるチャンネルがそれしかなかった、ということだろう」

「他のチャンネルは偉大な先達によって既に満杯ということだね」

「ファン側も同じだ。過去にいくらでも作品があり、それらを受容してきた層がある。浮かぶ飛行島とかね」

「海野十三だね」

「そういう先輩層に勝つにはリアル路線で行くしかなかったのだろう。たとえば、あの発艦装置で滑走距離は節約できないとかね」

「なるほど。それは一理あるね」

「いやいや。一理はないのだよ。ぬえの世代よりも更に下のこちらから言えば、ぬえはけして上手くやった組織とは言えない。方向性がやはりずれていたのだろう。ぬえを含めた先輩文化を並べて比較すると、実際に選ぶのはダントツでヤマトだ。ぬえではない」

「ヤマトか」

「ただね。ぬえが常にリアル指向だったとも言い難い。たとえば、高千穂遙のダーティペアやクラッシャージョーは難しい中身ではない。スペオペとはかくあるべきというような内容だ」

「そうか」

「でも、ぬえとシンパの総力戦的な劇場版クラッシャージョーになると理屈が小難しくなって面白さがダウンしてしまう」

「そうなの?」

「たとえばさ。もううろ覚えだから間違ってるかもしれないけど、最終決戦に加速発進する主人公の宇宙船がさ。いざ決戦というのに、いきなり側面に噴射して船体を横に滑らせてから前に加速するんだよ。これって、理屈の上では正しいんだよ。直線的な加速をしては簡単に進路を読まれるからさ。ずらして加速する方が合理的だ。でも、そんな理屈をいちいち考えて映画を見てはいられない。ほんの一瞬だからね」

「そうか、単純にスカッとしない分かりにくい絵になってしまうのか」

「理屈が行きすぎるとね、そういうことになる」

「でも、そうじゃない側面もあったわけだ」

「うん。だから、依然としてゼロテスターやコンVは良かったという感想もあるのだが、行きすぎた理屈まで肯定はできないわけだ」

「演出的な意味での問題もあるよね」

「それもある。客が見て分かることが第1なので、客を置き去りにして理屈に走ったら負けだ。演出的な意味で言えば、まず客が分かることがメカデザインの最初のポイントだ。理屈として正しいことではない」

「そういう意味で、ヤマトは成功しているね」

「戦艦大和みたいな塊が宇宙を飛んで宇宙戦艦ヤマトというタイトルが出たら、誰でもこれが宇宙戦艦と納得してくれる」

「それが前提条件?」

「うん。フィクションは嘘なんだから、まずあり得ない話を分かって頂くことが前提条件。リアルさなど、その後についてくる2次的な条件に過ぎない。しかも客がリアルだと思う条件と本当のリアルは必ずしも同じではない」

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