2010年10月01日
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映画『借りぐらしのアリエッティ』2回目の鑑賞の感想

Written By: トーノ・ゼロ連絡先

 本来、同じ映画を何回も見るような贅沢は望むべくもありません。しかし、ジブリの映画は(高畑作品を除き)、ほとんど映画館で複数回見ているし、何となくアリエッティももう1回見たかったし、そろそろ映画館のスクリーンから消えそうな頃合いだし、府中での上映時間も手頃だったので見てきました。最後まで海猿とどっちを見るか迷いましたけど。

謎の人気 §

 府中の上映スケールは映画を見に行くごとに見ていますが、アリエッティは順調に1日1回まで減っていました。ところが、昨日見るとなんと2回に増えていました。盛り返しています。さすがに今日(10/1)は1回に減ってましたけど。つまり、予想に反する人気がああったようです。

 実は、1度1回上映になってからまた2回になったのを見て、見に行くことを最後に決意しました。

 東京都現代美術館の「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」も、混むのが嫌だからわざわざ子供達の夏休みの終わりまで待ってから行ったのに凄い行列。

 更に今日の映画鑑賞も、小さいスクリーンでの上映、都民の日で子供は休み、1000円で映画が見られる日という条件が重なったとしても、ほぼ満席。わざわざ、ゆったり左右に他人がいない状態で座れるように最前列の席をリザーブしたのに、右も左も別の客。ほぼ満席なら当然ですけど。

 この謎の人気の正体を見極めるのがある意味で、2回目の鑑賞のテーマでした。

予告 §

 ヤマト実写版の予告も入ります。ジブリ映画の前にヤマト。凄いなあ。

 それから、映画「おまえうまそうだな」の予告もやってなした。「うまそう」というのは「美味しそうな生き物」なのに育ててしまった生き物の名前であり、これから「綺麗なジムシー」の出る映画を見るのにはまりすぎ。「最初は、食べるつもりだったのに」って、まさにジムシー視点。

水路問題 §

 近くに川があることはいくつもの間接的な描写で示されていますが、実は直接的な伏線が2つありました。1つは、映画開始直後に車で橋を渡っています。もう1つは、父親がスピラのことを言う際、「川の向こう」という表現を使っています。

 それから、庭には明らかに川の支流の残骸のような水路の痕跡があります。いくつも石の橋が見えます。そして、アリエッティとショウの別れのシーンで、断崖の上で分かれますが、スピラのいる側と分かれています。その中間におそらく支流が存在します。この支流が庭の水路の痕跡の延長線上にあるのでしょう。(ここは不確か)

 ショウの呼ぶ声が聞こえたとき、アリエッティは水路を越えて対岸を上がってショウと顔を合わせます。一方、スピラはやかんの船が接舷している側の崖を上がったのでしょう。支流の対岸側に上がってしまいます。まあ、彼の武器が弓である以上、距離を取った方が有利であるという判断かもしれませんが。

 で、やかんの船はこの支流を抜けて本流に出ます。

自然の問題 §

 自然がいっぱいのおばあちゃんの家。実は木々の背後にマンションが見える場面があります。巧妙に自然が一杯に見せかけていますが、実はすぐ背後にマンションが建っていたりする住宅地ということですね。実は、そういう感じの公園は都内に多くあります。分かって描いてますね。

演出の問題 §

 実は序盤を見ていて驚いたのは、演出的な的確さです。本来ショウは小さい人の話など知らず、何も注目していなかったはずです。しかし、猫という小道具を使い、それを経由することで自然にアリエッティを見てしまいます

男と女 §

 お父さんかっこいい、と素直に思えるのが家族しか知らないアリエッティ。それがショウと出会って惹かれ合ってしまいます。しかし、当初すぐ帰るつもりだったスピラもアリエッティを見ると、とどまって弓を見せてしまいます。そして、最後はやかんの上でちょっといい感じ。

 お父さんの負傷とスピラの登場がワンセットになっていることで、アリエッティは父の庇護から他人の待つ世界に乗り出すことが演出的によく描けています。

スケール感 §

 スケールが小さく、分かりやすいアイテムばかりで構成されているのもいいところ。網戸に頭を突っ込んで暴れるカラスの恐ろしさは、はっきりいってどんな凶悪な宇宙からの侵略者よりも怖い存在です。なにせ、怖いカラスならそこらじゅうにいくらでもいます。理屈ではなく実感で分かる怖さです。お手伝いさんの怖さも、「ああいうおばさんいるいる」で分かりやすいし。(緑の顔で彗星に乗って飛んでくる侵略者のおっさんなんて、誰も会ったこと無いわけだし)

まとめ §

 というわけで、2回目の鑑賞ではっきり分かりました。

 アリエッティは面白い。

 しかも、べらぼうに面白い。

 ジブリ作品の中でも、TOP3に入るぐらいの面白さじゃないでしょうか。

 だから、いろいろな事情が重なるとはいえ、まだスクリーンを埋められるだけのパワーがあるわけです。東京都現代美術館も凄い行列。

 では、なぜジブリでTOP3に入ってしまうのか。宮崎駿作品を押しのけることができるのか。

 おそらく理由はこれ。

 「新人監督はためらいなくストレートを投げられる」

 おそらく宮崎駿は、カリ城、コナンで既に直球勝負を終わっています。すると、決め球は変化球になってきます。変化球のデパートとも言える幅広いレパートリーで観客を翻弄できるのが宮崎アニメ。

 しかし、カリ城もコナンも「ジブリ作品」ではありません。

 だから、アリエッティは「カリ城、コナン」的な表現、世界観に回帰しています。主人能の属する種族は数が少なく、滅び掛かっているというのはコナン的です。「綺麗なジムシー」も出てくるし。更に見ている途中で気付いたのは、高い場所から垂直に降りる道具は、カリ城のルパンのベルトのバックルと同じような位置づけです。お父さんが半田付けしているのは、カリ城でルパンが偽物の指輪を鋳造しているシーンと符合します。偽の窓に現実ではない写真の風景が入っているのは、カリ城のクラリスの部屋の天井の絵の空に対応します。泥棒の話というのも同じ。泥棒と王女という異質なコンビで伯爵を倒してしまう構造も、大きい人と小さい人の異質なコンビでお手伝いさんを出し抜いてしまう構造と同じ。まったく違う者が手を組めば力は2倍ではなく、3倍にも4倍にもなるわけですね。

 だから、分かりやすくてストレートに面白い。

 ワクワクする屈指のいい映画になったと思います。

 原作がまるで違うので、本質的には別の映画になっているし、監督固有の趣味性が発揮された部分もありますが、要するにそういうことでしょう。

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