世代と用語の意味より
用語の意味を調べていると世代によって意味の異なるものがときどきあります。
若い世代 中高年
クール かっこいい 冷淡
たぶん、クールの意味の逆転は世代差というよりも文化差です。
というのは、「クール」の意味の差に驚いたのは1990年頃まで遡るからです。その時点で愕然としたのは、アメリカの英語のWindowsのプロモーション映像を見たときで、何回も繰り返しいろいろな人がWindowsを指さして「クール」と言っていますが、否定的な意味ではあり得ません。(それはプロモーション映像としてはあり得ない)
クールを否定的なニュアンスの言葉だと思っていたので、これはびっくり。
かっこいいという意味なんだよ、と詳しい日本人に教えてもらいました。
その後、アメリカ文化が特にIT分野で多く輸入されるボーダレスの環境下で、アメリカ的な「クール」が普及したのだろうと思います。特にアメリカ企業のプロモーションを直訳で日本に持ち込むような外資系企業が多いとそうなります。
というわけで、昔のことを思い出して少し書いてみました。
余談 §
「Windowsがクール? 馬鹿を言っちゃ行けない」
「は?」
「きっと、そう思ってるMac信者とかLinux信者が大勢いるぜ」
「しょせん、奇矯な少数派だから言わせておけ」
「そこまで言い切っていいのかい?」
「いいぞ。なぜなら、どういう時代の話か理解していないで、今の感覚を別の時代に適用でいるだけだからだ。つまり、典型的な錯誤を犯しているに過ぎないからだ」
「じゃあ、その時代というのはどういう時代?」
「まず、UNIXとかMINIXはあっても、Linuxはまだ無い。開発は始まっていたかもしれないけどね。でも、世間に出てくる段階ではなかった。比較してこっちがかっこいいと主張する人は誰も居ない」
「ははは。無ければ比較にならないね」
「それから、日本で最初に始まるMacブームの前夜的な時代だ。もちろん、Macの方がいいという人がいたが、かなり少数派でしかなかった」
「少ないのは今も同じじゃない?」
「もっと桁違いに少なかったんだよ」
「そうか」
「しかも話を聞いていると面白いぞ。散々Windowsをこき下ろして、MSはセンスが無いと散々バカにしておいて、Macの素晴らしさに話が移ると素晴らしい根拠の1つが『Excelが使える』」
「それMS製品じゃないか。しかもWindowsでも動く」
「いや、Excelの初期はWindows用が存在せず、Mac用のみだったんだ」
「へぇ」
「そこを突っ込むと、Excelは別なんだ。Mac用だから素晴らしいんだって屁理屈をこねるから笑えるぞ」
「笑えるの?」
「いや本当は笑えない。信者特有の気持ち悪い過剰な真剣さで主張するからね。ご高説承りましたと言って退散するだけさ」
「それはホラーだね」
「もっと怖い話もあるけど、横に置く。どんな分野でも信者になったら、判断力が奪われて負けだけど、本題と関係ないので横に置く」
「うん。本筋に戻って話を続けてよ」
「だからね。この場合、Windowsがクールだという表現で暗に比較対象になっているのは、当時の多数派のPCユーザーが使っていたMS-DOSなんだよ。使い勝手は悪いしメモリ空間も狭いし、あまりいいことがない。しかし、メモリ空間の問題を解決した3.0以降のWindowsになるとMS-DOSとの差は圧倒的になる。確かにクールと言って良いだけの差は出てくる。実際に存在した技術的な問題がいくつも解決されているからね。そこはクールと言っても嘘にはならないだろう」
「なるほど。比較対象はMS-DOSってことなのね。って、今時の若い人にそれが通じるとは思えないけど」