2010年12月14日
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感想・映画『武士の家計簿』

Written By: トーノZERO連絡先

「おっと、このタイミングで『武士の家計簿』とは意外だね」

「そうか?」

「もう1回SPACE BATTLESHIP ヤマトを見ると思ったよ」

「ロードショーが終わるまで毎週SPACE BATTLESHIP ヤマトに通うということも考えたが、不健全だと思ってやめた」

「不健全か」

「やはり、SPACE BATTLESHIP ヤマトが好きであっても、他の映画を知らずに好きというのは何が違う。他の映画を見てないのにいちばん好きという断言するのはおかしい」

「そうか」

武士の家計簿の問題 §

「で、なぜよりによって武士の家計簿なんだい?」

「実は、原作を読んだことがある。映画になるなんてまるで知らない状態でだ。しかも、真面目な歴史研究本で、映画になるようなドラマチックな物語じゃない」

「へー」

「というわけで、どんな映画になるのかまるで分からないから見てみたいと思った」

「意外な背景があるわけだね」

電車遅延の問題 §

「実は、どうしても時間が噛み合わず、効率よく府中まで行けなくて困った。上映開始時間と電車のダイヤの関係上、15分ぐらい時間のロスが出る」

「それは困るね」

「でも本当に困った事態は駅で発覚した。電車が10~20分遅延ということだ」

「それはマージンがあって良かったね」

「神様ありがとう、僕に厚いマージンをくれて」

「ははは」

「ところが、意外なことにほとんど予定通りに時間に電車に乗って電車が到着した」

「ええっ?」

「つまりさ。パターンダイヤのローテーション1回分の遅延で結果的にほとんど同じ時間に動いてしまったというわけだ。乗れたのは急行で予定した快速じゃなかったけど、時間はほとんど同じだった」

「ひ~」

「しかし、時間ぎりぎりに電車に飛び乗ることがいかに危険か良く分かったよ」

客層の問題 §

「スクリーンに入って愕然とした。客層が他の映画と違う。凄い地味」

「ええっ!?」

「客の色合いが地味すぎ」

「どういうこと?」

「客の年齢層が高い。若い人はファッションが地味。派手な色は年配の人ばかり」

「ははは」

「こうもはっきり客層の傾向が出るとは興味深い」

「普段の他の映画とはまるで違うってことだね」

「劇場に通うのは50代がメインという話を思い出すような状況だよ」

「でも、それが見えるのが映画館通いの醍醐味だね」

「ああ。ホームシアターで1人で映画を見ても絶対に分からない世界だ」

画期的という問題 §

「これはソロバン侍の映画だ。戦闘シーンはほとんど無い」

「ええっ!?」

「江戸時代の事務職のサラリーマンの話と思ってもいい」

「そうか」

「敵を斬るサムライも、下手人を追う岡っ引きも出てこない。武器はソロバン。もちろん計算する。玉が7個ある古風なソロバンだ」

「ええっ?」

「最初は、計算能力で不正を暴く話かと思いきや、そういう方向で話は膨らまない」

「じゃあ、この映画はなに?」

「なんだろうね」

「つまらないの?」

「いやいや。ちゃんと面白いんだ」

「謎だね」

「だからさ。SPACE BATTLESHIP ヤマトが1つの常識をぶち壊した画期的な映画だとするなら、この映画も時代劇の常識を1つぶちこわしだのだと思うよ」

「そうか」

「始まる前の宣伝でさ。赤穂浪士から抜けた男のその後の話ってのをやってたけど、これが普通の時代劇のパターンだろう」

「うん。戦うサムライの話ということだね」

「でもさ。武士の家計簿は基本的に戦わないサムライの話なんだ。ひたすらソロバン。ひたすら計算」

「そんな映画、見たこと無いよ」

「日本人が宇宙の彼方で得体の知れない敵に撃ちまくる映画が画期的であるのと同じように、正面戦力としての側面が一切無いサムライ映画もやはり画期的なんだろう。おそらくね」

「なるほど」

補給の問題 §

「補給の問題が大きく取り上げられ、それを行う人材として新政府軍にスカウトされる展開があるのだ。ソロバンの能力を買われてのスカウトだ」

「そうか」

「でもさ。戦いに必要なのは正面戦力じゃない、補給能力だというのは、ある意味で的確な正論。兵器の性能の差なんて、実は本質的でも何でもない。十分な補給能力がある方が勝つ」

「そんなもんなのか?」

「そんなもんだ。いくらやる気だけあっても、弾がなければ撃てない。腹ぺこでは力が入らない」

「そうか」

「そこで思い出したのが大戦略II」

「ええっ!?」

「あのゲームはね、ひたすら補給のゲームだったと思うよ。生産してから前線に届くまで時間が掛かるから、必要なものをタイムリーに生産して届けることはできない。前線での部隊の回復も重要だ。壊滅させずに回復を繰り返すと経験値が溜まって強くなるからね」

「そうか」

「だから、前線ではローテーションをきちんと組んで回復させ、必要な装備を前もって予測して生産して前線に送るわけだ。この補給戦に勝てば自動的に勝てる」

「なるほど」

「そのような局面で必要な人材は猛将じゃない。緻密な補給計画を立案して実行できる人材だ」

「なるほど、それがソロバン侍ということだね」

親子三代記 §

「この映画は、いわば親子三代に渡る年代記だ」

「そうか」

「親子の反発や、それでも親に似てくるところがある。あえて厳しい親とか、年を取って記憶がぼけている親とか、あれだけ反発しながら親と同じようなことをしている息子とか、かなり泣ける」

まとめ §

「というわけで、最後にまとめよう」

「うん」

「この映画も別の意味でエポックメーキングだと思う」

「そうか」

「戦う映画や、恋愛映画、あるいは広い意味で挫折から立ち直る映画など、いろいろなタイプの映画があると思うが、それらのどれともパターンが合致しないと思う」

「そうか」

「実はさ。森田芳光監督の映画としては、2011年秋公開予定の『僕達急行 A列車で行こう』も気になっているんだ。これも見られたら見たいものだね」

「なんかすっかり映画ファンも板に付いてきたね」

「ところで、大戦略IIが好きだった頃、大戦略シリーズと並んでもう1つ好きだったゲームのシリーズって何か分かるかい?」

「ウィザードリィとか?」

「ぶぶー、正解はアートディンクのA列車で行こうシリーズでした」

「えーっ!?」

「でも、この映画とは基本的に関係ない。しかし、奇妙な因縁だね」

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