「SPACE BATTLESHIP ヤマトの劇場パンフレットの最大の泣かせどころはやはりここだろう」
「どこ?」
「古代が艦内放送をして、空の沖田の席に敬礼すると第1艦橋の全員がそれに倣って敬礼するシーンがある」
「うん」
「でも、シナリオにもないし、事前の打ち合わせもなかったというのだ」
「ええっ?」
「つまりさ。役者が単に求められた演技をするという立場を超えて映画を積極的に作り出すクリエイションの側に立ったということだ。ヤマトあるいは沖田艦長という価値があればこそのことだと思うが、いい話だ。後悔もあるがな」
「後悔?」
「なぜ、おいらはその場にいなかった」
「ははは」
「たぶん、そう思ったファンは山ほどいると思うぞ」
木村拓哉って §
「木村拓哉って凄い。アドリブで敬礼したらまわりの役者を動かしてしまう力があるわけだ」
「そうだね」
「イケメンの虚像の下にある本当の木村拓哉という人物は本物の映画スターだと思う」
「それは凄い評価だね」
「でも、そういう人物像は既に宮崎駿がハウルの動く城で見抜いている。ハウルはイケメンとして登場して女の子をポーッとさせるが。最終的に血も繋がらない家族を守ってボロボロになるまで戦う男になる」
「凄く人間的な魅力があるね」
「美輪明宏も喜んじゃうような魅力だ」
「そこでの魅力はもうイケメンとかSMAPとか、そういうレベルを超えてもっと深いところに行ってしまうわけだね」
「やはりさ。事前の話もなくいきなり押しかけて朝食食って受け入れて貰えるハウルの優しさがポイント高いね。ソフィがそこに居着いてしまうのは、けしてハウルが美形だからではないわけだね」
「SPACE BATTLESHIPヤマトでもイケメンの効力は無いね」
「森雪には通用せず、糾弾される。その評価が覆るのは、実は命を助けてからだ」
オマケ §
「今思うと、ハウルの動く城という映画は凄く奥行きがあって追求すると面白い。重層的に深層があるんだ」
「そうか」
「でも、SPACE BATTLESHIP ヤマトも同じことさ」
「深層があるってことだね」
「250%の映画。映画2.5本分というのは現在のSPACE BATTLESHIP ヤマトの評価だ」
「そりゃ凄いね」
「だから、1回映画を分かっても、そんなレベルではまだ足りない」
「1回じゃダメか」
「そうさ。分かってからその先があるんだ」
「なるほど」
「でもさ。未だに浅瀬でチャプチャプして分かった気になって偉そうに語る奴は多い」
「そうなの?」
「だからさ。一般人が見たとき、SPACE BATTLESHIP ヤマトが泣けるかは本人の趣味嗜好の問題になるわけだ。ヤマトファンが見たときは、その濃さが問われる。濃ければ濃いほど、さりげないネタが分かるんだよ」
「それで?」
「じゃあ、本人はヤマトファンを気取っているだけのぬるい浅瀬層はどうなるんだろう?」
「彼らはどこに行けるの?」
「どこにも行けないんだよ。だからニセヤマトしか見えない」
「数十年前とあまり代わり映えのしないヤマトバッシングで相変わらず場を白けさせるだけか」
「いい加減、浅瀬でチャプチャプしてないでさ。浅瀬は卒業して日本海溝の深みに潜ろうぜ」
「で、どうするの?」
「もちろん乱泥流を見つけるのさ」
「なんかヤマトじゃないネタ混じった」
「てへ」
「そもそも250%って何だよ。どういう意味だよ」
「それはまた明日」
「まだまだ話は続くのか」
「世間がヤマトを忘れてもおいらは忘れない」