2011年03月29日
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ヤマトサウンドのルーツを探る・キーワードは「もう1つの道」なのか

Written By: トーノZERO連絡先

「これも、かなり前に書いた話だぞ」

「いちいち断らなくていいって」

「いい加減に思いつきを書き飛ばしているだけだから、信じるなよ」

「仮説ってことだね」

「そう言うと立派で真面目と誤解する人がいるから却下だ」

本題はじめ §

「ヤマトサウンドには謎が多い」

「どんな風に?」

  • 交響組曲はオーケストラと言われることが多いが実際はビッグバンド
  • アレンジ版は多いが、実はディスコアレンジはオフィシャルで宮川泰自身がやってる
  • ヤマトにはジャムトリップがなぜか存在しない (シンセサイザートリップはあるのに)
  • 助っ人に入ったハネケンがなぜがまるで異質

「この問題には徐々に決着が付きつつある感じだ。個人的にな」

「ほう」

「実はこの全ての謎はバラバラに見えて実は1つの流れで解釈できると気付いた」

「えっ?」

ヤマトサウンドの2本柱 §

「結論を先に言おう」

「うん」

「ヤマトサウンドは、実際には2本の柱があり、クラシックとジャズと考えられる」

「どうして急にジャズが出てくるんだい?」

「WikiPediaでビッグバンドを見てごらん。最初の1文はこうだ」

ビッグバンドはポピュラー音楽、特にジャズにおけるバンド形式の一つ。

「ええっ? ジャズ?」

「交響組曲がジャズであるとは言わないが、ジャズ的な料理方法で作られた音楽であるとは言って良いだろう」

「えええっ?」

「しかし、この路線は否定された。スターウォーズのブームが、SFは壮大なオーケストラが似合うという思想を連れてきたが、大編成バンドでやっていたヤマトサウンドはそれに似ているため、そのブームに巻き込まれてしまったのだ。その結果、ヤマトサウンドはクラシック系に大幅に路線変更した。しかし、これは宮川泰の得意分野とは言えないので、羽田健太郎が助っ人に入ってきて交響曲ヤマトを作るがまるで異質だ。当然だ。路線変更というマイルストーンの前と後では決定的に音楽が違って当たり前なのだ」

「そうか」

ジャムトリップ不在の問題 §

「カシオペアと言うバンドがある。フュージョンという分野のバンドだ。極めておおざっぱに言えば、フュージョンとはおおむねジャズ+ロックと考えれば良い。カシオペアの向谷実は鉄道ゲームでも有名だね。でも、実は無名時代にカシオペアの演奏を生で聴いたことがあるのだ」

「それは感度が高いという自慢?」

「そうじゃない。何かの発表会を聞きに行く羽目になったとき、バックバンドを無名時代のカシオペアがやっていて、最後に1曲カシオペア自身の曲をやったというだけさ」

「ただの偶然か……」

「で、中学時代カシオペアのLPを1枚買ったら、『え? カシオペア知ってるの?』とか驚く同級生とかいて、こっちが驚いたこともあるよ」

「わははは」

「でもさ、今にして思うと、ジャズテイストの入ったカシオペアの音と、交響組曲の音、どっちがジャズに近いかと言えばおそらく後者だ」

「えっ?」

「だからさ。ジャムトリップが要らないぐらいジャズに近い存在だったのだよ。交響組曲は」

「そんな風に聞いたことはなかったよ」

「おいらもさ」

ディスコアレンジの問題 §

「ディスコアレンジというのは、そういう意味では路線変更後に旧路線の延長線にあったものと考えられる」

「どうして?」

「初期にあって、ジャズとダンス音楽は隣接していたんだ」

「えっ?」

「たとえばさ。むかし見たベニーグッドマン物語という映画では、ジャズバンドがダンスホールで踊る音楽を演奏するために呼ばれているのだ。しかし、最後に思いっきりジャズをやるとみんな喜んで踊らないで聞いてしまうというシーンがあったと記憶する」

「そうか。確かに隣接しているね」

「もちろん、今風のダンス音楽では無いよ」

「でも、身体を動かすための音という意味では隣接しているわけだね」

「だから、ヤマトと同時に進行したサタデーナイトフィーバーによるディスコブームを契機にしたディスコアレンジは、否定された旧路線の噴出口としては適していたのだ」

「なるほど」

「更に言えば、それを考える傍証もある」

「なに?」

「ディスコアレンジにはチークタイム用のスローな曲があるのだが、これは今時のダンス曲にはない特徴だ。これはむしろ古い時代のダンスホールの世界の文化を継承している可能性を示唆し、それはジャズに隣接するのだ」

「なるほど」

「更に言えば、そういう文化は進駐軍経由で日本に色濃くもたらされている可能性がある。戦後のショービジネスは進駐軍抜きでは語らず、アメリカの文化がそこで色濃く入り込んでいるのだ」

「そうか。舞台に関わっていた西崎さんを含め、そういう文化の洗礼あっても不思議ではないね」

「しかし、この路線はディスコアレンジ1枚で途絶えてしまう」

「なぜ途絶えてしまうのだろう? むしろヤマト音楽としてはそっちが正統なんだろう?」

「そうじゃない。実は、完全なオーケストラサウンドにすることが正統な進化であるという思想があり、それはヤマトを押し包んだのだ」

「えっ?」

「しかも、やっている側にもそれを歓迎するムードがあったのだ」

「ええっ?」

問題はどこで込み入ったのか §

「こういう特徴がある」

  • 松本零士はクラシック好き
  • 西崎さんはジャズも好きだがクラシックも好き
  • 社会はジャズを時代遅れとして、圧倒的にクラシック路線を望んだ

「じゃあ、クラシックでいいじゃん」

「そうだ。だから実際にヤマトはクラシック路線に突っ走り、復活編ではついにクラシック曲ばかりがずらりと並んでしまったわけだ」

「そうだろ?」

「でも、そこから取りこぼされた無念はどこに行けばいいのだろうか?」

「ディスコアレンジってことだろう?」

「でも、それ1枚で続きが無い」

「うーむ」

ディスコアレンジの深層を探る §

「ディスコアレンジには唯一ポリドールから出ているという特徴がある」

「うん」

「なので、もう一度、今度は主題歌系でどのレーベルかをリストアップしてみた。主立ったものだけだ」

作品名曲名歌手名レーベル
宇宙戦艦ヤマト宇宙戦艦ヤマトささきいさお日本コロムビア
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たちヤマトより愛をこめて沢田研二ポリドール・レコード
宇宙戦艦ヤマト2テレサよ永遠にささきいさお日本コロムビア
新たなる旅立ちヤマト!!新たなる旅立ちささきいさお日本コロムビア
新たなる旅立ちサーシャわが愛島倉千代子日本コロムビア
ヤマトよ永遠に愛よその日まで布施明ユニバーサルミュージック
ヤマトよ永遠に銀河伝説岩崎宏美ビクター
ヤマトIII別離堀江美都子日本コロムビア
完結編ラブ・シュープリーム~至上の愛~八神純子ディスコメイトレコード
完結編明日に架ける虹トランザム、桑江知子徳間音楽工業
完結編二つの愛桑江知子徳間音楽工業
復活編この愛を捧げてTHE ALFEEEXPRESS Virgin Music (EMIミュージック・ジャパン)
復活編DC???

「日本コロムビアが多いね」

「日本コロムビア以外は全てバラバラと言ってもいい」

「沢田健二はポリドールでディスコアレンジと一緒だね」

「そこだ!」

「どこどこ?」

「さらば宇宙戦艦ヤマトで一段落した後、ポストさらばの音楽を巡って闘争があったと想定すると良く分かる」

「えっ?」

「沢田健二からディスコアレンジに続く、ヤマトとの太いパイプをポリドールは構築つつあった。しかもヤマト2でディスコアレンジはBGMに使われて準公式サントラになっていた。そのまま、新たなる旅立ちのBGMもポリドールが手がけるという路線まであり得たのだろう」

「日本コロムビアとしては面白くないよね」

「従って、日本コロムビアとしてはその路線は潰さねばならない」

「えっ?」

「具体的なことは分からないが、二度とヤマトに手出しができないような措置が執られたと思うと筋が通る」

「筋って?」

「未だにディスコアレンジのCDが出ていない理由が分かるってことさ」

「そうか、音源はポリドールが持っているが、もうポリドールはヤマトに手を出せないってことだね」

「その結果、ヤマトは日本コロムビア以外の特定のレーベルと過剰に仲良く付き合うことは難しくなった。いろいろなアーティストを連れてきてヤマト音楽に花を添えることはできるが、骨格は常に日本コロムビアが握ることになり、商売の都合上クラシック路線しか許されない」

「うーむ」

「むしろ、いろいろなアーティストを連れて来る際に、特定のレーベルに偏らないように配慮しなければならない。そういう状況だったのかも知れないぞ」

「偏るとそっちと仲良くなって日本コロムビアが切られる可能性もあったということだね」

オマケ §

「ということで、そのまま終わるはずであったが、何となく更に調べてハッとしたよ」

「ええっ? まだ何かあるのかい?」

「日本コロムビアが切られる可能性は夢想上の可能性ではなかった」

「どういうこと?」

「2520ではコロムビアではなくソニーレコードになっているのだ」

「ええっ?」

「そして復活編はEMIミュージックジャパンなのだ」

「それってもしかして」

「交響曲宇宙戦艦ヤマト。オリジナルはコロムビアだが、2009年のものはEMIミュージックジャパンなのだ。同じ曲だが違うレーベルから出ているのだ」

「なんですと!? 同じじゃないの?」

「違うのだ」

「それってどういうこと?」

「ヤマト音楽をどのレーベルで出すのかという激闘もあったと考えるべきだろうな」

「レーベル側が奪い合ったということ?」

「良い条件を引き出すためにアニメ制作サイドが戦ったという可能性もあり得る」

「そうか」

「歌手の選定とも絡む複雑なゲームが展開された可能性もある」

「悩ましいね」

「しかも、おそらく真相は永遠に出てこない」

「真相は当事者しか分からないってことだね」

「特定の当事者も全貌を把握していない可能性もあるし、本当のことを言わない可能性もある」

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