「埋もれていた松本零士音楽大全(The Music Encyclopedia of LEIJI MATSUMOTO 1999)を発掘したことで、もう1つ放置状態だったCDにもあらためて手を付けることにした」
「それはなんだい?」
「アーコスティックヤマト。宮川彬良と平原まことのCDだ」
「うわ。宮川彬良さんとは凄いね。宮川泰の息子だ」
「ずっと昔に買ってあったのだが、ほとんど聴いてなかったのだ」
「もったいないオバケが出るぞ」
問題はどこにあるのか §
「このCDはアレンジが凄い」
「そうか」
「でもさ。特に6曲目の白色彗星ジャズバージョンの相性が凄くいい。やっぱりヤマトサウンドの片方の親はジャズにあるのだよ」
「なるほど。長い時間を経て聞き直したことで急速に解釈と認識が進んだわけだね」
「豊かな意味が得られた感じだ」
「そうか」
「それに、スローな曲が多いのでじっくり聴くには落ち着いている必要がある。復活編とSPACE BATTLESHIP ヤマトを経て、自分にも落ち着きが出たのだと思う」
「それは良かったね」
「ちなみに白色彗星のパイプオルガンを当時弾いた高校生が宮川彬良であるから、凄い因縁だ」
オチはどこにあるのか §
「でも、まだオチを書いてない」
「えっ、オチがあるの?」
「うん。もしかしたら白色彗星がジャズであることに能書きがあるかと思ってライナーを開いたんだ」
「それで?」
「いきなり早川優の名前を見て目を白黒。企画に関わったみたいだ。解説も書いてる。松本零士音楽大全を離れて違うCDに進んだつもりなのに、実は早川優さんの手のひらの中で踊っていただけ」
「わはははは」
ヤマト世界の限界論 §
「たぶん、このCDがヤマト世界の限界だ」
「どうして?」
「ここから先に進むとヤマトではない世界に行ってしまうからだ」
「そこまでヤマト音楽を崩しているということだね」
「まあ、もっと崩そうと思えば崩せるが、どこがヤマトか分かりにくい世界に行くことになるだろう」