「SBヤマトの箱にでかでかと書いてあったので気になった」
「なんだい?」
GENERAL HEADQUATERS
UNITED NATIONS OF SPACE ADMINISTRATION
「藤堂の後ろにあるマークの文字でもある」
「何を言っているんだい?」
「実は直訳しようとするとけっこう込み入っていることに気付いた」
「どうして?」
「HEADQUATERSとADMINISTRATIONには、どちらにも本部という意味が含まれ、曖昧に言葉がかぶってしまうからだ」
「えっ?」
「しかし、ADMINISTRATIONはおそらく政治寄り、HEADQUATERSは軍事寄りの言葉と思われる」
「H.Q.っていうのは、時々戦争関係で見る言葉だよね。でも、一般企業でも本社をH.Q.って呼んでいる例があるよ。マイクロソフトとか」
「それは軍隊用語からの連想利用だろう」
「ヤマトの主砲は?」
「それは3連装利用だろう。それはともかく、そうなってくると文民統制という観点から言って、ADMINISTRATIONが上位に来ることが想定される」
「そうか。なら、UNITED NATIONS OF SPACE ADMINISTRATIONってのは何なのだろう」
「UNITED NATIONSは国際連合であるが、OF SPACEが付いているので宇宙国連とでも言えば良いのではないかと思う」
「どうして宇宙?」
「国連(UNITED NATIONS)は地球上の国家連合。それに対して、宇宙進出が進んだ時代なら地球外にも拠点があるのだろう」
「でも、火星まで攻め込まれているよ」
「SBヤマトの場合、宇宙ステーションに人は住んでいたんだ」
「あ……」
「宇宙に住むことが天体に住むこととは限らない」
「分かった。UNITED NATIONS OF SPACE ADMINISTRATIONは宇宙国連本部という感じだね」
「うん」
「ならGENERAL HEADQUATERSは?」
「それも難しい」
「どうして?」
「Buster KeatonのThe Generalは翻訳が揺れて実はいくつも名前があるからだ。『キートン将軍』『キートンの大列車追跡』『キートンの大列車強盗』」
「どうして揺れるの?」
「The Generalは将軍だと思ったら機関車の名前だったことが後から分かって大慌てということらしい」
「ひぇ~」
「というわけで、GENERALは将軍とも解釈でき、藤堂の階級のようにも思えるが、藤堂個人が背負った文字とも思えないので、たぶん違う。藤堂がいない場所でもたぶん使われている」
「ならいったい?」
「全体の……といった意味じゃないかな」
「じゃあ、HEADQUATERSは?」
「軍事的な本部なら、司令部と訳すのが自然ではないかな」
「続けると、全体の司令部?」
「総司令部と呼んだ方がしっくり来るかも知れない」
「じゃあ、続けると?」
「宇宙国連本部総司令部」
「分かりにくいね」
「1つ言葉を補おう」
「宇宙国連本部(地球防衛軍)総司令部」
「なるほど。宇宙国連の下部組織として地球防衛軍があって、その総司令部は宇宙国連本部の中にあるってイメージだね」
更なる考察 §
「しかし、このことは重要なことを示唆する」
「えっ?」
「実は、藤堂は下部組織の長として、上部組織の限られたエリートを脱出させる役割も担っていたのだ」
「ええっ?」
「だから、宇宙国連本部の一部として、それを行う総司令部があったのだ」
「きたねえ」
「だからさ。その汚さを沖田がちゃぶ台返ししたんだ」
「そうか。全員が生き延びられる可能性があるなら、エリートからヤマトを取り上げて出航できるってことだね」
「さすがにエリートの保身だけでその他地球人類を滅ぼせない」
「やるな、沖田」
「でも実際にエリート相手にちゃぶ台をひっくり返したのは藤堂の方だ」
「やるな、藤堂」
オマケ §
「という解釈が事実かは一切知らないからな」
「信じるなよ!」