「いやー、びっくりしたな」
「何があったんだい?」
「実は、母がオーディオプレイヤーを欲しがったので、どのような製品がいいか調べたのだ」
「君はアンチAppleだから、意地でもiPod以外を探したってことかい?」
「ははは、アンチAppleなんてことはないぜ」
「では、Apple製品でも喜んで勧めるってことかい?」
「それもあり得ない」
「矛盾してるよ」
「してない。ただ単に、実際に使って満足度が低かったから、他人に勧めていないだけだ」
「でもそれは君の個人的な意見だろう?」
「と思うだろう?」
「えっ? 違うの?」
「おいらも、しょせんは個人的意見だと思っていた」
「それは偏見が入っていると認めるってことかい?」
「いや。おおいらが見た範囲内では誠実な意見さ」
「じゃあ、いったい何が起きたんだい?」
「これをみてくれ。たった今見たkakaku.comの携帯プレイヤーのランキングだ」
「iPodばかりじゃ無いか」
「よく見ろ。売れ筋ランキングと注目ランキングではベスト3をiPodが独占しているのに、満足度ランキングではベスト3に1機種も入ってないんだぜ」
「えっ?」
「だからさ。売れていること、注目されていることは事実かも知れない。でも満足度はけして高くはない。おいらの印象は間違って無かったわけだ」
「ぎゃふん」
「まあ、しばしばあることなんだけどね。自分では世間に逆らったつもりが、実は世間も同じ方向を向いていたとか」
「それって嬉しいの?」
「悲しくは無いな。自分は間違って無かった、ということだから」
「自分は他人とは違うという証明にはならないよ」
「別にそんな証明は欲しくない。自分は特別じゃない」
「それで、君は何を選んだのだい?」
「どれでも良かったのだが、満足度ランキングの高い順に調べて、スペック的に条件に合わなかったので1位と2位を落とした。結果として、3位のCOWON iAUDIO 9 i9-16G-SLを選んだ」
「その機種は本当にいいの?」
「ははは。現物がまだ来てないのに分かるわけないだろ。それに来ても母が使うのだぜ。おいらは実際には使わない」
「ぎゃふん」