「九電のやらせ問題がけっこうあちこちで沸騰しているみたいだよ」
「ああ、あれね。確かに良いことじゃない。褒められることでもない。批判されるのは当然だろう。でもさほど重要なことじゃないので、別に気にしてない」
「えっ? 重要じゃない? だってやらせで住人が望んでいない原発が稼働したら重大問題だろう?」
「ああ、めんどくさいなあ。そういう話」
「どこが面倒なんだよ」
「この話はさ。一歩踏み込むと泥沼が待っているんだよ。そんな場所にどうして足を踏み込みたいと思う?」
「泥沼? 原子力賛成派がやらせ体質で場をひっかきまわすから?」
「わははは。君も面白いことを言うね」
「どこが面白いんだよ。こっちは真面目だぞ」
「現実問題として、場をひっかきまわして泥沼化させているのは反原発派の方に見えるよ。昔から伝統的にね」
「えっ?」
「反原発派があれぐらい不公正な行為をやってるんだから、自分たちも対抗上ちょっとぐらいやっていいに違いないと思ったとしても不思議じゃない」
「まさか。反原発派の方がひどいっての?」
「圧倒的にひどいだろうね」
「でも、原発は事故が起きたら怖いじゃ無いか」
「そうだ。そこだ」
「えっ?」
「反原発派の最近の戦術は、福島で実際に深刻な原発事故が起きたことを根拠にして、過剰に恐怖心を煽ることだ。恐怖心を過剰に煽られると健全な判断能力が失われる。その結果として、自ら国を滅ぼすような意見にも容易に賛成してしまう。恐怖から逃げるためだ」
「何それ。原発は怖くないってこと?」
「そうじゃない。キングコングじゃないんだ。怖くないなんてことはない」
「えっ?」
「めんどくさいから、話はこれでおしまい。さあ帰った帰った」
「せめてヒントぐらいはくれよ」
「この問題は実は原発の問題ではなく、詐欺的なテクニックの問題でしかない。いかに、あり得ない結論を信じ込ませるのかという方法論の問題でしかない」
「意味分からないよ」