「MS-DOS Executiveだ。懐かしいなあ」
「なんだよそれは」
「Windowsの初期バージョンの標準シェルだよ」
「それはおかしいじゃないか。MS-DOSって、Windowsより前のOSだろ?」
「でも、WindowsのシェルはMS-DOS Executiveって名前だったんだよ。Windows 1.xから2.xのときはそうだったんだよ」
「ふーん。良く分からないや」
「分からなくていいよ。それよりも、歴史の闇には未知の領域があるとだけ認識していてくれ」
「闇が重要なのかい?」
「そうさ。未知の領域があると分かれば、安易に『画期的な新しいアイデアを思いついた。聞いて聞いて』とまとわりついて来ないだろう?」
「むぅ。そんなことはしないよ」
「君はそうでも、意外とそういうタイプは多いぞ」
「そんなものかね」
「そもそも、MS-DOS Executiveが搭載されていた時代のWindowsとは、売れない商品の代表だったんだぜ」
「まさか。Windowsといえば、悪の大マイクロソフト帝国があらゆる卑劣な手段を使って強引に客に売り込んでいたのだろう?」
「はははは。まさか。当時のパソコン雑誌にどれほどWindows関連記事があるか図書館行って調べて来いよ。だいだい1980年代の後半と思っておけばいいだろう」
「ほんとかよ」
「そうだ。だって、みんな軽くて何でもやりたいことはできるDOSがあればいいと思っていたんだよ。一部の落ちこぼれが『僕たちの方が正しいもん』と逆ギレしてMacintoshに走った程度でね。ほとんどDOS関連というか98関連だから」
「あんな意味不明の呪文を使うOSでいいとは。まさに歴史の闇だね」
「だってほとんどのユーザーは呪文使ってないもん」
「まさか。だってスタートメニューも無かったんだろ?」
「当時はFDドライブに一太郎とか1-2-3のフロッピーを突っ込んで電源入れればすぐ動いたからさ。アプリの起動なんてみんなOSの操作としてはやってなかったぞ」
「ぎゃふん」