「バトルスピリッツ・ブレイヴがめでたく終了」
「そうか」
「途中から感想を書けなくなったが、全話見たよ」
「そこまでとは、熱心だね」
「1年を超えて続いたことになるので、成功したと言えるだろうな」
「営業的な側面はともかく、中身はどうだった?」
「最初だけかと思ったが尻尾までアンコが詰まった良い作品であった」
「ずばり、何がそんなに良かったの?」
「良いところは多いのだが、決定的な長所は登場人物を増やし過ぎなかったのが大英断だと思う」
「というと?」
「通常は、1話完結で毎回ゲストキャラを出したくなる」
「それがテレビアニメのパターンだね」
「でもさ。1話限りのゲストに見えたイオラスもフローラも実は全編を通じたキャラだったのだ。それで十分に作品を支えられた」
「そんなに?」
「イオラスは忠犬だが、思い上がって弄ばれた。その過去があればこそ、最後までバローネについていく行動に説得力が出るというものだ」
「バローネはどうなの?」
「要するに最初はバトル中毒の自己中男として登場しながら、失脚して人生の重みを知り、その後は王女不在の魔族の国家を背負うまでになる。それだけの人望を得るわけだ」
「その変化のドラマがいいわけだね」
「それが本物ということだ」
「この作品は本物?」
「そうだな。ある意味で本物じゃないが、本物であるとも言える」
「どっちなんだ」
「この作品の世界は、寓話の虚構世界なんだ。中二病的な世界と言ってもいい。心に傷を負って逃げ込む場所でしか無い。しかし、最終的にその傷を乗り越えて戻って行くから本物であるとも言える」
「クラッキーは戻らないぞ」
「伴侶を得て生きていくのはリアルなんだ。どこであろうとね」
「なるほど。あとダンも戻らないぞ」
「あれはけっこう意外。あの流れなら、何となく主人公は消えませんでした、めでたしめでたしで終わると思った。りりかSOSの結末で死ぬはずだった主人公が『生きてる』で終わるみたいにね。でも、消えた。その潔さは記憶されるべきだろう」
「どうして消えたの?」
「ダンくんは強くなりすぎた、ってことだろうな」
「バローネよりも?」
「そうだ。もっと強い。バローネも結局ダンにリードされた」
「では、もう戻って来ないの?」
「さあな。それは分からない」
シリーズで一番 §
「君がいちばん面白かったのはどこ?」
「そうだな。やはり序盤の、思い上がった生意気なガキに艦長が職務としてきつい一撃を与えるところかな」
「わははは。そこは重要?」
「そうだ。この話が、中二病世界の外に繋がっているいいシーンだ。めんどくさいのに、クラッキーはよくやったよ」
「2番目を探すと、どこ?」
「実は女王は生きていた、という衝撃の展開。あそこはあっけに取られたね」
「もっと重要な役割でストーリーに絡んでくると思われた女幹部が代理で死んでいたものね」
「あれはびっくりだ」
まとめ §
「結局、君はブレイヴをどう見る?」
「アニメ史上で、記憶されるべき1本だろうと思うよ。そのへんの半端なアニメとは比較にならない。しかも最後まで筋を通せた」
「でも、そういう高評価はあまり見ない気がするけどね」
「だろうな」
「なぜそうなってしまうの?」
「一般論としての平均的なオタクは、これを受容するには子供でありすぎるからだろう」
「作中で語られても、何を語られているか分からないってことだね」
「それどころか、見てない人が多数派だろうさ」
「放送時間も早すぎるしね」
「それはそれで良かったのかしれないよ」
「どうして?」
「もっと良い時間帯だと、もっと分かりやすくしろと圧力を受けて凡庸なアニメになったかもしれない」
オマケ §
「バトスピやろうぜ」
「そんな、作中の登場人物みたいなことを言ってどうした」
「いやさ。上野の科学博物館の恐竜展に行ったら、バトスピカードをもらってしまったのだ」
「さすが、夏休みのお子様向け企画」
「暴竜ティラノ・バッキー。系統地竜を持つ自分のスピリット1体につき、BP3000以下の相手スピリットを破壊するという効果があるから、おそらく強いのだろう」
「なるほど」
「というわけで、カードを1枚手に入れてしまった」
「だからバトスピやろうぜと?」
「そうだ。コアブリット、オープンファイア。ゲートオープン、開放!」
「ちょっと待て。1枚ではプレイできないぞ」
「えっ?」
「バトスピは40枚以上持ってないとできないルールだぞ。1枚あってもできないぞ」
「ぎゃふん」