「突然気づいて愕然とした」
「なんだい?」
「ブレイヴとカウボーイ&エイリアンって実は似てるんだ」
「どうして? カードバトルものと、西部劇+SFものがなぜ似てるんだい?」
「そういう表面的なものを取っ払った骨格が似ているんだ」
「えっ?」
「だからさ。本質的にどちらも『和解もの』なんだよ」
「どういう意味?」
「ブレイヴは、最初に地球を侵略する魔族と戦うために主人公は召喚された。しかし、結果として人間と魔族を和解させた。倒さなかったのだ」
「そうか」
「カウボーイ&エイリアンも、主人公が暴力的で悪い実力者が支配する街に来て、その者と対立していくのだが、最終的に共闘してしまう」
「それが『和解もの』という意味だね」
「うん。だからさ。ポイントが和解にある以上、敵は正体が良く分からない」
「地球リセットとエイリアンだね」
「どちらもコミュニケーション不能で、通常の意味では敵にあたらない」
「なるほど」
「他にもいろいろある」
「たとえば?」
- 一見して設定がめちゃくちゃである (カード勝負で土地をやりとりするとか、西部劇の世界観にエイリアンが攻めてくるとか)
- 主人公は期待される秩序を守る善人ではない
- 世間知らずの少年が自立して成長していくドラマが補助的に付随している
問題は何か §
「ここで問題は、太平洋を挟んだ東西で、なぜ似たような物語の骨格が使われたのかだ」
「なぜだろう?」
「結局、今の地球はそういう時代になったのだろう」
「和解が必要とされる時代?」
「そうだ。地球は狭くなりすぎた。異種の相手と共存する方法を模索しなければならない。それが21世紀的なリアルだ。けして、特定の人種国家思想を悪と見なすだけでは収まらない。そういう時代になったのだ」
「つまり現在の正義の味方とは、敵を倒す者ではなく、和解のシンボルになれる者ということだね」
「そうだ。敵を倒せば良いという単純な世界観はもう通用しない」
「でも、XXは悪い。やっつけろ、という論調の連中も未だに多いよ」
「世の中にはどんな奴だっているさ。でも、そういう論調でどこまで押し切れるかやってみるといいさ」
「押し切れなくなったその先が問題ということだね」
「まあな」