「手元には、こち亀千両箱というコミックがある」
「中身は?」
「1000話記念などの渋い話を集めたものだ」
「それで?」
「850回記念の「友情の翼の巻」というのが含まれる」
「内容は?」
「ハイカラな友達ができるが、家庭内の不和で離婚して上野駅から少年は旅立つ。そこで、日暮里の陸橋からトンチンカンが銀メンを巻くわけだ」
「なるほど。でも何が分かったんだい?」
「地理だ」
「は?」
「不忍池を挟んで、浅草の反対側。東大の方だ。まさに弥生1丁目と書いてある。ハイカラな少年はそこに住んでいる」
「なるほど」
「坂があるのは本郷台地だから当然」
「えっ。坂も?」
「坂が描いてあるコマがある。しかし、問題はここから」
「うん」
「上野に間に合わないトンチンカンは日暮里の陸橋に行った。なぜか」
「なぜ?」
「上野も日暮里も距離は大差ない。でも、列車が出てからの猶予は日暮里の方が大きい」
「なるほど」
「だから、上野では無く日暮里を目指す。途中で谷中の墓地を通過する描写があるが、これも当然。実際に、経路上に谷中の墓地がある」
理由 §
「なぜ今は分かるの?」
「様々な理由で、このあたりに何回も来たからな」
「谷中の墓地まで?」
「うちの墓は谷中では無いが、日暮里に近い。親戚の墓は谷中にあって、何回か行ったことがある」
「縁が深いのか」
「それ以外にも弥生美術館とか、朝倉彫塑館とか、いろいろな施設があるしな」
「うーむ」
「行ったばかりの旧岩崎邸庭園も不忍池の向こう側だしな」
「それも該当しちゃうのか」
「しかも、タモリの坂道の本にも日暮里周辺は出てくるしな。多角的な意味で面白い場所だよ」