「芦田豊雄回顧展の都合で、秋葉原のシャッツキステに行った訳だが」
「うん」
「ここは、変な本がある私設図書館と豪語するメイド喫茶の一種だ。しかし、変な本が本当にあるのだろうか。変な本とは一体何があるのだろうか」
「君が考える変な本ってなんだい?」
「ネクロノミコンとか、立喰師列伝で引用されている立喰師に関する本の数々とか」
「それは全部架空の本だろ!」
「というわけで、本棚を見てみた。まあオタク好みの萌えとかアニメの本はぜんぜんこれっぽっちもない」
「オタク好みの萌えとかアニメの本は、変な本に入らないってことだろう」
「と思ったら、なんとマシーネンクリーガーの本(スケッチ集らしい)がさりげなくあった」
「えー」
「なんだこの本棚はと思ったら別の場所にセガのゲームは世界いちぃぃぃ!があった」
「わははは」
「そして次の瞬間、なんとロボット三等兵が見えた」
「えー。なんだよそれは」
「ハードカバーの再刊版のようだが、信じられない思いで取り出して中を見たら本当にロボット三等兵だった」
「こち亀でよくネタに使われるロボット三等兵かよ」
「うん。ともかく、変な本があると豪語するだけのことはあると思った。これだけあれば、しっかり主張していいよ。ここは確かに変な本がある私設図書館だ」
「というわけで話はおしまいだね」
「ははは。まさか」
「えっ?」
「そう思ってロボット三等兵を本棚に戻した瞬間、とんでもないものが近くに見えてしまった」
「なんだよ」
「日ペンの美子ちゃん」
「わはははは」
「この『変な本』勝負は、俺の負けだ」
オマケ §
「ちなみに、12時少し前に現地に行ったらまだ店は開いていなかった。12時開店だった」
「そうか」
「既に数名の行列があったので、並んだ。出直すことを考えれば、15分ぐらい待つのはなんてことはない」
「確かに、出直せば1時間は掛かるものね」
「だがしかし、かなり待つのがうざくなった」
「行列苦手ものね」
「だが、結果的に大正解」
「なんぜだよ」
「延びる延びる行列が延びる。角を曲がってどんどん延びる」
「えー」
「比較的早めに行って並んだことになり、比較的早めに入れたのだ。これはラッキー」
「ひぇ~」
オマケ2 §
「シャッツキステのメイドのスカートは長い。足が見えない」
「それで?」
「でも帰りに注意して見ると、秋葉原で客引きをしてるメイドは、ほぼ例外なくスカートが短い」
「なんで違うんだよ」
「秋葉原のメイドは結局アイドルでかつ一種の水商売なんだ。でも、それは本質的にメイドではない。メイドというのは使用人なんだ。可愛いとは決まっていないし、若いとも決まっていない。要するに家政婦そのものなんだよ。本来のメイドというのは」
「それが本来のメイド趣味のあり方ってことだね」
「そうだ。そういうメイドに求められるのは、実は可愛さでも色気でも無い。ご主人様を敬愛する心でもない。業務を行うプロ根性だ。後は、丁寧な応対を行う上品さだね」
「たまたま、若かったりご主人様を好きになるメイドがいるって可能性は?」
「ある。でも、それは『そういう事例もあり得る』というだけの話しで、多数派はそうではない」
「それで?」
「シャッツキステのメイドは、秋葉原のなんちゃってメイド(と自称するアイドル予備軍)と違って、本来のメイドに近いのだろうな、と思わせてくれるファッションがあったよ」
「でも、みんな若いんだろ?」
「そこは接客業としては必用なんだろう。しかし、秋葉原の(自称)メイド文化の辺境に位置していることは確かだろう」
「それに意味があるの?」
「ある。秋葉原のメイドが目当てなら行ってもしょうがない。しかし、秋葉原のメイドに飽きたら、癒やしの場所になるのかも知れない」
オマケ同盟軍 §
「シャッツキステの飲み物は基本的に紅茶である」
「それで?」
「無粋な泥水じゃないのが良いじゃないか」
「わはははは」
「さりげないこだわりだね」