2012年02月13日
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オタクにとってのヤマトの存在感はどこにあるのか

Written By: トーノZERO連絡先

「たまたま以下のような文章を見た」

「オタク論?」

「まあ、そうなんだろう」

「君にはあまり興味が無さそうだね」

「ああ、そうだ。オタクとはなんぞや、オタクにはいかにしてなるのかという話には興味が無い。こっちは何も変わっていないのに世間が勝手にオタクというラベルをこっちに貼って、剥がしただけのこと。ラベルの有無で行動に差異は無いし、オタク文化を称揚する気も無いし、そもそも自分が一度でもオタクであったのかは疑問だ」

「勝手にそういうラベルを貼られただけで、オタクとは似て非なるものであったわけだね」

「まあそうだが、ここでのテーマはそこにはない」

「どこにある?」

「ここ」

 オタク史に関しては、70年代・80年代・90年代……という見方よりも、5年ほどずらしてみるとまた違った見え方がするのではないだろうか。それぞれのディケイドの真ん中あたりでエポックメイキングな出来事が起こっているのだ。

「ディケイド?」

「ちょっとくすぐったい通りすがりのライダーじゃないぞ。10年期という意味だ」

「それで?」

「この説明だけを見ると、1974年放送開始の宇宙戦艦ヤマトは1975年前後であり、この話題にヒットしているかのように見える」

「それで?」

「でもさ。このあとの年表に1回だけ出てくるヤマトの名前はこれだけ」

  • 77年 『宇宙戦艦ヤマト』再放送・劇場版公開でアニメブーム起こる。コミケの中心がアニパロに移行

「えっ? 74年じゃなくて77年?」

「こっちの人生がひっくり返ったのは74年なんだ。そもそも、ハイジとヤマトと猿の軍団が重なったという珍事が起きたエポックメーキングが年なのに、そこはもう華麗にスルーされている」

「それってどういうこと?」

「これを書いた人は第2世代オタクらしいのだが、彼らの世界観にはもうヤマトは机上の知識としてしか存在しない。ついでにアトムもな」

「アトムもか!」

「だから、アニメの始祖としての知識で以下のように書かれるが、同時代の他の番組には一切触れられていない」

  • 63年 『鉄腕アトム』放映開始。30分枠連続TVアニメの確立

「実写のアトムとか、もう世界観に含まれないわけだね」

「そこから逆算すると、ヤマトはオタク文化に含まれないことになる。アトムもオタク文化に含まれないことになる。旧虫プロ系アニメ文化は綺麗さっぱりオタク文化の外に出てしまう」

「ヤマトも大きなくくりでは旧虫プロ系ってことだね」

「だから、ヤマトはオタク文化の始祖には位置づけられない。始祖であると言う机上の知識はあっても、彼らに実感としてそれは分からない。そう言われているから、そういうものだとお勉強して知識として持っているが、実感として分からない。分からなくて当然だ。実際には、オタク文化の始祖ではなかったのだろう」

「でも、活動は似通っているよ。ファンサークルつくったり、同人誌作ったり」

「そうだ。その意味を理解することが重要だ」

「というと?」

「だからさ。オタク文化とは先行者の『模倣文化』なんだよ」

「えー」

「ヤマトを模倣しようとして失敗した奇形がガ○ダムでありオタク文化なんだろう」

「どう失敗したの?」

「スタイルだけ真似して魂は継承できなかった」

「どんな魂だよ」

「ヤマト魂」

「ぎゃふん」

「だから、一見してヤマトが始祖であるかのように見えるが、それは嘘だ」

「たとえば?」

「女性キャラに入れ込むのは、オタク文化独自の『萌え』と言いたがるような風潮もあるが、実はそれ自身森雪が始祖とは言えない」

「どうして?」

「ウルトラマン列伝で初代ウルトラマンのエピソードを放送していたが、フジ隊員がけっこう活躍していた。あの当時から、女性登場人物を熱心に見る視線は存在していた」

「フジアキコ物語が成立するわけだね」

「あるいは、G3号のミニスカパンチラがゴールデンタイムの電波に乗ったのはヤマトよりも前だ」

「そっちはアニメだね」

「そもそも、白蛇伝のヒロインにやられて宮崎駿がアニメ業界に就職しちゃったのは、ヤマトなどよりずっと昔の話」

結局 §

「結局さ、前にも言った気がするけどヤマトはそういう文化の尻尾なんだよ。始祖じゃない」

「えー」

「ヤマトの前にSF読んでたとか丸を読んでたとかガッチャマンを見ていたとかそういう流れの背景があって、その最後の一撃としてヤマトはやってきたわけだ」

「どうしてヤマトは最後の一撃なの?」

「ヤマトは、実は凄く安易で簡単に模倣できるようでいて、実はもの凄く模倣が難しいからだ」

「ヤマトを起点に前進できるように見えて、実は前進できないってこと?」

「そうだ。だから強引に前進させようとすると、おかしなことになる」

「なぜ、模倣が難しいの?」

「それは、ヤマトが複数の文化の末裔であるハイブリッドキメラだからだ。全体を俯瞰できる視点が無ければヤマトを乗り越えられない。しかも、乗り越えるべきか、乗り越えたら良いことがあるのかも定かではない」

「乗り越えたら良いことがあるのかも定かではないって、どういう意味?」

「ヤマトを乗り越えるよりも、目の前の現実に立ち向かう方が良いのかも知れない」

オマケ §

「ヤマトは、実は凄く安易で簡単に模倣できるようでいて、実はもの凄く模倣が難しいからだ」

「なぜ難しいの?」

「カメラを引くと集団がまるで軍隊のように一糸乱れぬ集団行動し、超兵器で戦って勝つ。それだけに見える。これは模倣しやすい。敵がいて撃って破壊すればいいわけだ。しかし、カメラを寄せると、実は個々人には1人1人の人生と生活があって、急に話が簡単に割り切れなくなる」

「割り切れなくなるとどうなるの?」

「子供には『筋が通らない』としか思えない展開が続々と出てくる」

「ロボの役割が敵を華々しく倒すヒーローからスカートめくりになってしまうとか」

「そこかよ!」

「一例だ」

「テレビでマジンガーZ見てた子供には理解不能の成り行きってことだね」

「でもさ。雑誌で『ジャンジャジャ〜ン ボスボロットだい』を読んでいたら入っていける世界観でもある」

「そっちか」

「ポコイダーでも可」

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